意識のある患者に気管挿管を行うときは、鎮静するの?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「気管挿管における鎮静」に関するQ&Aです。

 

露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)

 

意識のある患者に気管挿管を行うときは、鎮静するの?

 

酸素化・換気困難、挿管困難などがなく、呼吸・循環動態が鎮静薬の投与に耐えられるのであれば、鎮静・鎮痛薬を投与して気管挿管を行います。

 

〈目次〉

 

意識のある患者に対する気管挿管

基本的に、酸素化・換気困難や挿管困難などがなく、呼吸・循環動態が鎮静薬の使用に耐えられるのであれば、鎮静・鎮痛を行う。

 

ただし、次項の場合には、意識下挿管(鎮静・鎮痛を行わない。または少量の鎮静・鎮痛薬を使用)を実施する。

 

意識下挿管を行う場合

 

  • 挿管困難が予想される患者:意識下であれば自発呼吸が残っているため、挿管困難かつ換気困難患者で、気管挿管に時間を要しても呼吸を維持できる。
  • フルストマック(食事直後)患者内に食物が多く残留している場合、鎮静によって嚥下反射が抑制されて誤嚥のリスクが高くなるが、意識下であれば嚥下反射が残存するため誤嚥を予防できる。
  • 状態が悪く鎮静薬の使用に耐えられない患者:状態が悪い患者の場合、軽度の鎮静でも血圧低下や呼吸抑制をきたすが、鎮静薬を使用しなければ呼吸・循環を維持できる。

 

図1に意識下挿管の手順を示す。

 

図1意識下挿管の手順

 


[文献]

  • (1)薊隆文,勝屋弘忠:気管挿管法.外科治療2006;94:361-372.
  • (2)天谷文昌,松田愛:気管挿管の手技と注意点.The Lung Perspectives2012;20:27-30.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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