呼吸器系のCT画像で見るべきポイントは?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「呼吸器系のCT画像で見るべきポイント」に関するQ&Aです。
尾野敏明
杏林大学医学部付属看護専門学校非常勤講師
呼吸器系のCT画像で見るべきポイントは?
CT画像を見る際は、X線画像とCT画像を対比させながら見ていきます。スライスされた画像の透過性の変化を見ていくことがポイントです。
〈目次〉
CT画像の有用性
立体のものを平面で表すという点では、単純X線画像もCT画像も同様である。しかし、X線画像は影絵のように表出されるのに対し、CT画像はある部分で輪切り(スライス)にした断面図になる。当然、輪切りにされたものを連続してつなげていけば、立体的な変化を把握できる。そのため、CT画像は、単純X線画像と比べると情報量が豊富であり、有用性は高い。
CT画像のポイント
実際にCT画像を見る際は、X線画像とCT画像を対比させながら見ていく。見るべきポイントは、スライスされた画像の透過性の変化を見ていくことである。このとき、結節や粒状陰影といったものも見ていく。
誤嚥性肺炎患者の例
下図は、誤嚥性肺炎を呈した患者の胸部X線画像とCT画像である(図1)(図2)(図3)。胸部X線画像では、右肺が上肺野~下肺野にわたり、びまん性に透過性低下をきたしているように見える。しかし、CT画像を見ると、背側に浸潤陰影が集中していることがわかる。このように、CT画像とX線画像を見比べると、異常の局在を特定できる。
解剖学的位置関係の重要性
図4に、肺と心臓の位置関係の一例を示す。CT画像を見るときは、解剖学的位置関係をしっかり把握しておくことが重要である。胸部X線画像についても同様だが、輪切りにしてあるCT画像では、より重要性が高まる。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社