胃腸管(消化管)ホルモンと消化酵素はどう違うの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「胃腸管ホルモンと消化酵素の違い」に関するQ&Aです。
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山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
胃腸管(消化管)ホルモンと消化酵素はどう違うの?
胃腸管(消化管)からは食物を消化するための酵素が分泌されていますが、同時に胃腸管(消化管)ホルモンも分泌されています。
この両者の関係をみると、消化酵素の分泌を調節し、さらに胃腸管(消化管)の運動をも制御しているのが胃腸管(消化管)ホルモンになります。胃腸管(消化管)ホルモンのおかげで、消化酵素は食物通過に合わせて適切な時期に、さらに過不足なく分泌されるのです。
胃腸管(消化管)ホルモンの分泌の経過を、食物の流れに沿ってみてみましょう。食物が胃に入って消化が始まると、アミノ酸や酢酸などの刺激でガストリンというホルモンが分泌されます。ガストリンは胃酸やペプシノゲンの分泌を促し、胃の運動を促進させる作用があります。
食物は次に十二指腸に送られます。胃で強い酸性(pH3以下)になった粥状の食物が刺激となり、十二指腸からはセクレチンというホルモンが分泌されます。セクレチンには、膵液を大量に分泌させるだけでなく、胃酸の分泌を抑制する作用があります。同じく十二指腸から分泌される胃腸管(消化管)ホルモンの胃抑制ペプチドも、胃酸の分泌を抑制します。これによって胃での消化は中止されます。
食物が十二指腸に入ってくると、その中のアミノ酸やペプトンが刺激になってコレシストキニンというホルモンが分泌されます。このホルモンは、多量の消化酵素を含む膵液を分泌させ、胆汁の分泌を促します。
このように、胃腸管(消化管)ホルモンは次々と連動しながら消化を助けます。
※編集部注※
当記事は、2017年10月16日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版