NPPVの組み立てと基本操作は?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「NPPVの組み立てと基本操作」に関するQ&Aです。
小山昌利
公立陶生病院臨床工学部主任
NPPVの組み立てと基本操作は?
使用するマスクの呼気ポートの有無を確認してから回路を組み立てるのがポイントです。NPPV専用機(BiPAP VisionとV60)では呼気ポートテストを行うこと、人工呼吸器のNIVモード使用時には回路構成が異なることに注意してください。
〈目次〉
NPPVの回路の構成
NPPVの回路は、蛇管(3本)、ウォータートラップ(1個)、圧チューブ(2本)、加温加湿器、加温加湿チャンバー、バクテリアフィルター(1個)、圧チューブフィルター(1個)によって構成される(図1)。
図1NPPV専用機の回路構成(V60、呼気ポートがないマスク使用時)
マスクに呼気ポートがない場合(単独型)、回路内に呼気ポートを組み込む必要がある。
NPPVの回路の組み立て
NPPV専用機における回路の組み立て手順を以下に示す。
- ①機械の駆動源である電源・酸素配管を接続
- ②加温加湿チャンバーを設置
- ③患者送気口にバクテリアフィルターを接続
- ④バクテリアフィルターと加温加湿チャンバーを蛇管で接続
- ⑤加温加湿チャンバーとウォータートラップを蛇管で接続
- ⑥ウォータートラップとマスクを蛇管で接続
呼気ポート単独型の場合は、蛇管とマスクの間に呼気ポートを装着する必要があることに注意が必要である。
NPPV立ち上げ時の基本操作
1BiPAP Visionの場合
①呼気ポートテスト
②呼気ポートの先をふさぐ
③呼気ポートテスト開始画面
④テスト完了画面
電源を入れると、自動的にセルフテストが行われ、その後、呼気ポートテスト画面となる(図2-①)。
マスク一体型の呼気ポートではマスクを閉塞させて、単独型では呼気ポート以外を閉塞させて、呼気ポートテストを行う(図2-②)。
2V60の場合
①マスクの選択画面
②呼気ポートの選択
電源を入れると、自動的にセルフテストが行われる。その後、マスクの選択と呼気ポートの選択を行う(使用するマスクおよび呼気ポートを入力する)必要がある。
3人工呼吸器「NIVモード」の場合
最近では、NPPV専用機以外のクリティカル型の人工呼吸器にもNPPVが搭載されるようになり、NIVモードとして使用可能になった。しかし、NPPV専用機とは回路構成、マスクの選択が異なる点に注意が必要である。
クリティカル型の人工呼吸器の多くは呼気回路を有し、機械へ呼気を戻す必要があるため、呼気側にも回路を設ける2本構成となる。
マスクは単独型を選択し、呼気ポートを設ける必要がないのも特徴である。
[文献]
- (1)Chevrolet JC, Jolliet P. Workload of Non-Invasive Ventilation in Acute Respiratory Failure. In: Vincent JL ed. Year book of intensive and emergency medicine 1977. Berlin: Springer-Verlag; 1997: 505-513.
- (2)日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会 編:NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン. 南江堂,東京,2006.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社