ウィーニングって、なに?|人工呼吸ケア

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「ウィーニング」に関するQ&Aです。

 

奥田晃久
東京慈恵会医科大学附属病院臨床工学部

 

ウィーニングって、なに?

 

ウィーニングとは、人工呼吸器離脱の可能性が評価された後、人工呼吸器のサポートを減少させ、自発呼吸へと移行させていく過程のことです。

 

ウィーニングとは

1950年代は、人工呼吸器を外したり着けたりを繰り返す「on-off法」が主流であった。

 

SIMVやPSVなどの換気モードの誕生により、人工呼吸器の補助を徐々に減らしていくウィーニング法が可能となった。

 

1995年以降より、最も優れたウィーニング法として、SBT(自発呼吸トライアル)が用いられるようになった(1)

 

人工呼吸器離脱までの過程は6段階に分けられ、第4段階のSBTからがウィーニングとされる(図1)。

 

図1人工呼吸器装着から離脱までの6段階

人工呼吸器装着から離脱までの6段階

 

(Boles JM, Bion J, Connors A, et al. Weaning from mechanical ventilation. Eur Respir J 2007; 29: 1034)

 

離脱には、人工呼吸器装着時間の40~50%の時間がかかるとされ、特に第2、3段階の遅れが離脱全体の遅れとなり、死亡率の上昇につながる(3)

 

ウィーニングは、①simple weaning(シンプルウィーニング/単純なウィーニング)、②difficult weaning(ディフィカルトウィーニング/困難なウィーニング)、③prolonged weaning(プロロングドウィーニング/長期のウィーニング)の3種類に分類される(表1)。

 

表1ウィーニングの分類

 

分類 定義
simple weaning 最初のSBTで人工呼吸器から離脱する患者
difficult weaning 最初のSBTは失敗(最大3回までのSBT)、あるいは最初のSBTから人工呼 吸器離脱までに最長7日間かかる患者
prolonged weaning 4回以上のSBT、あるいは最初のSBTから人工呼吸器離脱までに7日間超必 要とする患者

(Boles JM, Bion J, Connors A, et al. Weaning from mechanical ventilation. Eur Respir J 2007; 29: 1034.)

 

医師以外の医療者によるウィーニングプロトコールを使用したウィーニングは、人工呼吸器装着期間、離脱時間、ICU滞在日数が短縮するという報告がある(3)

 

現在、日本集中治療医学会、日本呼吸療法医学会、日本クリティカルケア看護学会の3学会が合同で「人工呼吸器離脱プロトコール(案)」を作成中である。・・・2015年2月公開「人工呼吸器離脱プロトコール

 

略語

 

  • SIMV(synchronized intermittent mandatory ventilation):同期式間欠的強制換気
  • PSV(pressure support ventilation):圧支持換気
  • SBT(spontaneous breathing trial):自発呼吸トライアル

 


[文献]

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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