心音はどのように聴こえる?
看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「心音」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
心音はどのように聴こえる?
心音(しんおん)は心臓の弁が閉じるときに生じる音です。
心臓から血液が送り出されるためには、心房と心室の間の房室弁と、心室と動脈の間の動脈弁が開閉する必要があります。(図1)
図1心臓の内腔(再掲)
心房が収縮して血液が心室を満たすと、房室弁(僧帽弁と三尖弁)が閉じ、それに伴って心室が収縮を始めます。心音の第I音は、このときの音です。
心室が収縮して血液を動脈に送り出すと、動脈弁(大動脈弁と肺動脈弁)が閉鎖されます。これが心音の第II音です。
心臓の鼓動をドクンというように表しますが、注意深く聴いてみると1回のドクンはド、ドと2回に分けて聴くことができます。これは前述したように、4個の弁が2回に分かれて閉鎖するためです。1回目は心房と心室の間の弁が、2回目は心室から動脈への出口の弁が閉鎖する音です。
弁に開閉不全や狭窄があると、心音に加えて異常な音が発生します。これを心雑音(しんざつおん)といいます。
MEMO心音の聴診
心音の聴診は、第I音は心尖部、第II音は両側第2肋間の高さの胸骨縁で、最もよく聴き取ることができます。第I音は鈍く低い音、第II音は鋭く高い音が聴こえます。
※編集部注※
当記事は、2016年6月3日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版