採血部位は前腕を多く用いるのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は採血の手順に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
採血部位は前腕を多く用いるのはなぜ?
肘窩の皮静脈は腕まくりをすれば簡単に露出でき、また比較的太い静脈で、表面の皮膚がやわらかく刺しやすいためです。
〈目次〉
採血しやすい静脈は
皮膚のすぐ下の皮下組織中を走る静脈を皮静脈とよびます。肘窩(前腕)の皮静脈は腕まくりをすれば簡単に露出でき、比較的太い静脈です。深在性の静脈のように動脈と並走していないため、安全に採血できます。しかも表面の皮膚がやわらかいため刺しやすく、また皮膚から透かして見えるため、静脈採血には最適とされています。
採血に用いられる静脈は
前腕屈側部には、橈側皮静脈、前腕正中皮静脈、尺側皮静脈が走っていますが、これらは肘窩で肘正中皮静脈により互いにくっつきあっています。この吻合形式には人によりかなりの相違がありますが、一般に最も採血しやすいのは尺側正中皮静脈で、ついで橈側前腕皮静脈、側皮静脈などです(図1)。
なお、橈側正中皮静脈の付近には、かなり太い神経が走っているため、この静脈を狙って深く刺し過ぎると、誤って神経を刺し、手先まで響くような痛みを訴えることがあるので注意を要します。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版