皮下注射時、注射針の刺入角度が10~ 30度なのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は皮下注射に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
皮下注射時、注射針の刺入角度が10~30度なのはなぜ?
皮膚表面から比較的浅い皮下組織への刺入に適した角度であり、深層の神経、血管への損傷、筋層への刺入を防ぐためです。
〈目次〉
皮下注射の針の刺入角度は
皮下組織とは真皮直下の組織であり、皮膚の表面からは近い部位にあり、深層への刺入を防ぐ意味からも、10~30度という浅い刺入角度が適しています。
逆にこれよりも浅い刺入角度(10度未満)では、皮内注射になる可能性があり、皮下への刺入が困難となります。
皮下注射の刺入角度を10~30度にするのは
皮下注射とは、皮膚(真皮)と筋層の間の皮下組織(脂肪および線維組織)に薬液を注入する方法です。
注射針の皮膚への刺入角度が10~30度以上あると直接、筋層への薬液注入が行なわれ、筋肉内注射を行なっていることになります。そのため皮下注射としての有効な薬物の働きを得ることができなくなったり、副作用の発生を引きおこす可能性もあります。
また筋層の比較的薄い部分の皮下注射では、刺入角度が深いと、深層の血管、神経を損傷する可能性が高くなります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版