カプセル剤は、カプセルから出して中身だけ服用してはいけないのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回はカプセル剤服用に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
カプセル剤は、カプセルから出して中身だけ服用してはいけないのはなぜ?
薬効時間を保つため、あるいは胃腸障害などの副作用の発生や薬の効き過ぎによる副作用をふせぐためです。
〈目次〉
カプセル剤とは
薬の形(剤型)は、錠剤、カプセルあるいは散、末などに分けられます(図1)。
このうちカプセル剤は、顆粒状の成分を被膜(カプセル)で包んであり、服用後、胃腸管内でカプセルが徐々に溶け出すようになっています。したがって、カプセル内の成分が長時間かけて吸収され、薬の作用時間が延長されるように工夫されています。
もしもカプセル内容だけを取り出して服用した場合には、胃腸管内で薬の成分がすぐに吸収され、作用時間が短時間のみで終わってしまいます。剤型は、副作用を防ぐ意味と、より有効な作用を得るために、腸容薬と徐放薬、最近ではプロドラッグ(体内で代謝されることによって薬効が出現する医薬品)といった工夫がなされています。
腸容薬とは文字どおり、服用された薬が胃で作用せず、腸で溶けだして吸収され、作用します。これも胃への障害を防ぐ意味で開発された薬です。
徐放薬は先に述べたカプセル剤が代表するように服用後ゆっくり溶け、長時間作用するように工夫された薬ですが、同時にカプセル内容がゆっくり溶けることによって、胃腸管への障害が防止されます。
カプセル剤が適しているのは
カプセル剤の内容のみを取り出して服用すると、胃腸障害が生ずる可能性が高くなります。長時間作用するように工夫された内容量が、一時期に吸収されることで、血中の薬物濃度が有効量を一気に越えてしまい、これによる副作用が生ずる可能性も高くなってしまいます。
しかし、徐放性のカプセル剤は、副作用の防止や作用時間の延長などの都合のよい面がある反面、短時間で速効性を得ようとするときには不適当であり、頓服用(1回で服用)というよりは常用薬として用いられることが多いようです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版