テトラサイクリン系の薬は、牛乳と一緒に服用してはいけないのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は牛乳と服用してはいけない薬に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
テトラサイクリン系の薬は、牛乳と一緒に服用してはいけないのはなぜ?
牛乳にのなかのカルシウムとテトラサイクリン中の成分が結合し、腸管での吸収が悪くなるためです。
〈目次〉
牛乳とテトラサイクリン系薬剤の関係は
牛乳のなかには多数の栄養成分が含まれています。抗生物質のうち、とくにテトラサイクリン系の薬剤(アクロマイシン、テラマイシン、レダマイシン、ミノマイシンなど)は、牛乳中のカルシウムと結合すると、キレート化や不活性化を生じます。その結果、胃や腸管での吸収が悪くなったりして、血中の薬物濃度の低下をきたします。
牛乳と服用してはいけない薬は
とくに抗生物質は一定の血中薬物濃度を保っていないと、必要な抗菌作用を得ることはできません。したがってテトラサイクリン系の薬は牛乳と服用してはいけないといわれているのです。
牛乳以外でも、テトラサイクリン系の抗生物質は、鉄・アルミニウムなどの塩類、ヘパリン、ヒドロコルチゾンと混同すると、同様にキレート化、不活性化を生じ、吸収障害や血中薬物濃度の低下をきたします。
牛乳と服用してよい薬は
また逆に、消炎鎮痛剤などは、胃腸障害といった副作用を生ずる頻度がほかの薬物と比較して高く、この発生機序としては、薬物の胃壁に対する直接作用と考えられています。
ですから、胃粘膜を保護するという意味で、消炎鎮痛剤などはむしろ牛乳と一緒に服用するのもよい方法といえます。
そのほか、脂溶性の高い薬も牛乳と服用すると、胃・腸管での吸収が高まり、薬の効果が上がるといわれています。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版