エコー検査の準備と片付け
画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、ナースが目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
[前回の内容]
今回は、「エコー検査の準備・片付け」についてのお話です。
加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)
通常、エコー検査はドクターがしますが、ポータブルエコー機器の準備と片付けは、ナースの皆さんにも手伝っていただく場合があります。
ポータブルエコーって、救急外来や病棟で使用するエコーのことですよね?
その通り。施設によっては、ドクターが全部準備する場合もありますが、ナースにも理解していただけるとありがたいです。
ここはしっかりと覚えて、先生の役に立てるように頑張ります!
ありがとう。それでは、準備と片付けのポイントの解説を始めます。
〈目次〉
検査前の準備
エコー機器を設置する
エコー検査では、術者が検査しやすいエコー機器の向きがあります。通常、エコー機器は、患者さんの頭側(患者さんから見て右側)で、画面は足側を向くように配置します(図1)。
図1エコー機器の配置例
エコーゼリーを準備する
エコー検査では、プローブと身体の間の空気をなくし、しっかりと密着させる必要があります。そこで、エコーを伝わりやすくするため、患者さんの身体にエコーゼリー(超音波検査用ゼリー)を塗ります。検査後には、患者さんの身体に塗ったエコーゼリーを拭く必要があるため、検査を始める前に、片付けの際の準備もしておきましょう。
また、検査中に、患者さんの服にエコーゼリーが付かないように、タオルなどで衣服を保護します。患者さんが女性の場合は、必要時以外は、胸にタオルをかけておきましょう。
部屋のセッティング
検査を始める際には、術者がモニター画面を見やすいように、部屋の電気を消します。検査が終了したら、部屋の電気をつけましょう。
検査後の片付け
検査後は、プローブに付いたエコーゼリーを拭きとって、アルコール綿で拭きます。
プローブは、複数の患者さんに直接触れるため、感染性疾患(腸炎など)の疑いがある患者さんに使用した場合は、特に念入りな清掃が必要です。ノロウイルスの疑いがあった場合など、必要であれば、次亜塩素酸で拭きましょう。
Check Point
- エコーを伝わりやすくするため、患者さんの身体にエコーゼリーを塗ってから検査を行います。
- プローブは、直接患者さんの体に触れるため、感染の温床になる危険性があります。
- 検査と検査の間には、必ずアルコールでプローブの消毒を!
これでエコー検査の基礎知識編は終了です。
次は、いよいよ実践編です。疾患や症状別にエコー検査のポイントを見ていきましょう。
[次回]
肝内胆管拡張症は閉塞性黄疸のサイン
- 病棟や外来で使用するエコー機器
- エコー(超音波)の性質と特徴
- 肝臓と胆囊のエコー像
- 膵臓と脾臓のエコー像
- 腎臓のエコー像
- ⇒『初めてのエコー(超音波)検査』の【総目次】を見る
[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科
Illustration:田中博志