ペースメーカー装着患者の日常生活指導
心電図が苦手なナースのための解説書『アクティブ心電図』より。
田中喜美夫
田中循環器内科クリニック院長
[前回の内容]
今回は、ペースメーカー装着患者の日常生活指導について解説します。
〈目次〉
体外式か植え込み型かによる違い
体外式の場合は、病状によってはジェネレーターを携帯してトイレ歩行程度が許可されることもありますが、ペースメーカーが必要なくなるか、ペースメーカー埋め込みを行うまでは、活動範囲は限定されます。
植込み型ペースメーカーの場合、縫合部、リード位置、ペースメーカーの動作確認などで、通常は1週間程度の入院が必要です。
手術後の指導として
退院後も、リードが完全に心筋に固定されるまでは1~3か月かかりますから、その間は激しい運動、とくに埋め込みを行った側の腕を高く上げるような動作は行わないように指導します。
退院後、外来受診までは、縫合部や植込み部の感染、内出血などのトラブルが起こる場合があることを説明し、異常を感じた場合は受診するように指導します。
ペースメーカーの指導として
永久ペースメーカーを埋め込んだ場合は、ジェネレーターやリードの種類、設定などの情報が記載されたペースメーカー手帳が発行されるので、常に携行し、とくに医療機関を受診する際は提示するように指導します。
ペースメーカーは強い電磁波で誤作動を起こすことがあり、細かいことはペースメーカー手帳と一緒に渡される「ペースメーカーのしおり」に記載がありますので、一緒に読みながら指導するとよいでしょう。
とくにMRIと高圧電線の下は強い電磁波を発生することをよく説明してください。
トラブルがあればもちろん、トラブルがなくても、定期的なペースメーカーチェックが必要です。電池の残量、リード抵抗、閾値、作動状況などを体外からチェックしますので、必ず受けるように指導してください。チェックの間隔は医療機関によって違いますが、3~6か月ごとが多いようです。
まとめ
- 術後1か月は、リード移動や縫合部、植込み部位のトラブルが生じることがあり、異常を感じたら受診するように指導
- ペースメーカー手帳をなるべく携行し、とくに医療機関では提示するように指導
- 電磁波によって、作動不良が起こる場合があることを説明する
- 定期的にペースメーカーのチェックが必要であることを説明する
[次回]
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『アクティブ心電図』 (著者)田中喜美夫/2014年3月刊行/ サイオ出版