U波を見る|心疾患の心電図(5)
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心電図が苦手なナースのための解説書『アクティブ心電図』より。
今回は、心疾患の心電図の5回目です。
田中喜美夫
田中循環器内科クリニック院長
[前回の内容]
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U波は、T波の後に出現する陽性波で、T波の高さの半分を超えることはありません(図1)。
T波が小高い“山”なら、U波は“丘”といったところでしょうか。起源ははっきりしませんが、プルキンエ線維の再分極由来という説もあります。正常で見られる場合は、陽性(基線より上)で、V2、V3あたりが最も目立ちます。
U波が、T波の半分を超えて高くなる場合は、低カリウム血症を考えてください。この場合、ST低下と、T波平低化、T波陰性化を伴っていて、さらに低カリウム血症が悪化すれば、T波とU波が融合して、TU波となります。
陰性U波(基線より下のU波)はそれだけで異常です。虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に伴って出現することがあります。高度の左室肥大で左胸部誘導(V4~V6)に陰性U波が現れることもあります。
まとめ
- 低カリウム血症では、高いU波に加えてST低下、T波平低化、T波陰性化を伴う
- 陰性U波は、深さにかかわらず異常、心筋虚血、高度の左室肥大で出現することがある
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『アクティブ心電図』 (著者)田中喜美夫/2014年3月刊行/ サイオ出版