神経伝導速度|脳・神経系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、神経伝導速度検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
神経伝導速度検査とはどんな検査か
神経伝導速度検査とは、痛みなどの刺激が神経を伝わっていく速度を測る検査である。
図1運動神経伝導速度の測定(正中神経)
神経伝導速度検査の目的
- 末梢神経の病変(変性、脱髄、絞扼、分布、感覚、運動、混合型)の判定。糖尿病性神経障害などの末梢神経障害、ギランバレー症候群、慢性脱髄性多発根神経炎(CIDP)、手根管症候群、肘部管症候群などの診断に有用。
- 病気の進行度の判定。
- 病変の広がりや分布の解析。
神経伝導速度検査の実際
- ①患者に横になってもらう。
- ②支配筋上に電極を置き、中枢部と末梢の2点を電気刺激し、誘発される筋電図を記録し計測する(運動神経伝導速度)。
- ③中枢部を刺激して末梢で記録する(感覚神経伝導速度)。
- ④運動神経伝導速度で用いられる神経は、上肢では正中・尺骨、下肢では脛骨・腓骨神経である。
- ⑤感覚神経伝導速度で用いられる神経は、正中・尺骨・腓腹神経である。
神経伝導速度検査前後の看護の手順
1)患者への説明
- 痛みなどの刺激が神経を伝わっていく速度を調べる検査である。
2)検査前の処置
- 特になし。
3)準備するもの
・刺激装置の付属した筋電計 ・刺激電極 ・記録電極 ・接地電極 ・電極装着用ペーストあるいはゼリー
4)検査後の管理
- 体についたペーストまたはゼリーを除去する。
神経伝導速度検査において注意すべきこと
- 神経伝導速度は体温により影響を受けるため、検査中は室温を21〜23℃以上に保つようにする。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版