2018/10/09 のクイズ

入院中の77歳男性。妻と二人暮らしです。2週間前に脳出血を発症し、左半身に軽い麻痺が残りました。今後はリハビリ病棟に転棟し、リハビリに取り組む予定です。自宅への退院を目指しています。
急性期は、尿道留置カテーテルにて排尿管理されていましたが、脳出血発症後10日目にカテーテルを抜去しています。カテーテル挿入中の尿量は、6~22時(日中)が500mL、22~6時(夜間)が1,500mLでした。カテーテル抜去後の自排尿は50~100mL程度で、残尿が200~300mL程度みられています。脳出血発症前は、特に排尿に問題を感じることはありませんでした。
泌尿器科医によると、前立腺肥大症は認められず(前立腺体積25cm3)、脳出血が原因の神経因性膀胱による尿排出障害との診断でした。尿排出障害の対応としては、間欠導尿を継続することが妥当です。今後、リハビリ病棟に転棟するにあたり、この患者さんに最も適した排尿管理は、以下のうちどれでしょうか?
  1. 1. 日中・夜間問わず、4時間ごとにCICを施行する。
  2. 2. 夜間の尿量が多く、CICを施行するのは困難であるため、尿道留置カテーテルを選択する。
  3. 3. 日中は1~2回CICを行い、夜間は間欠式バルーンカテーテルとウロバッグを用いて管理を行う。
  4. 4. 24時間、間欠式バルーンカテーテルを使用し、日中はキャップ管理、夜間はウロバッグにドレナージさせる管理を行う。

挑戦者3327人 正解率53%

この患者さんは、泌尿器科医に診断されたように、脳出血による神経因性膀胱に関連した尿排出障害であると考えられます。この場合、前立腺肥大症薬を内服したからといって、有効であるとは言い難く、神経障害(脳出血)の回復がみられるまで、導尿が必要となります。なお、この患者さんは自排尿がみられることから、今後、尿排出障害が改善してくる可能性があります。自宅への退院も目指していますので、本人のADLや長期的な膀胱機能を保持する観点から、患者さん自身で定期的に行う清潔間欠自己導尿(CIC)の導入が妥当と考えられます。

1. 日中・夜間問わず、4時間ごとにCICを施行する。
不正解

この患者さんの排尿管理としては、CICを行うことが妥当ですが、尿量の多い夜間は、別の排尿管理を検討する必要があります。よって、この選択肢は誤りとなります。この患者さんの一日の総尿量は2,000mLなので、1回排尿量300~400mLとすると、1日5~6回程度の手技が必要となります。しかし、カテーテル挿入中の尿量の日動推移は、夜間に1,500mLと多く、夜間多尿の状態であるといえます。逆に日中は500mL程度であり、CICを行うにしても、1~2回程度で問題ない状態です。この場合、夜間に何度もCICを行うのは手技への負担が大きいので、CICと併用で、夜間のみ間欠式バルーンカテーテルを用いてカテーテル留置を行うことが必要だと考えられます。

2. 夜間の尿量が多く、CICを施行するのは困難であるため、尿道留置カテーテルを選択する。
不正解

夜間の尿量が多いことがCICを断念する理由になりません。よって、この選択肢は誤りとなります。この患者さんは自排尿がみられ、今後、尿排出障害が改善してくる可能性もあります。本人のADLから考えても、この患者さんの排尿管理としてはCICを行うことが妥当です。

3. 日中は1~2回CICを行い、夜間は間欠式バルーンカテーテルとウロバッグを用いて管理を行う。
正解

総合解説にある通り、この患者さんの排尿管理としてはCICを行うことが妥当です。また、選択肢のように、日中は1~2回CICを行い、夜間は手技への負担を減らすために、間欠式バルーンカテーテルでカテーテル留置を行うことを検討しましょう。なお、夜間は1,500mL程度の尿量が見込まれるので、間欠式バルーンカテーテルを2,000mL以上の容量を持つウロバッグに接続することで、膀胱内の尿をスムーズにウロバッグに誘導し、膀胱の過伸展の予防ができると考えられます。

4. 24時間、間欠式バルーンカテーテルを使用し、日中はキャップ管理、夜間はウロバッグにドレナージさせる管理を行う。
不正解

総合解説にある通り、この患者さんの排尿管理としてはCICを行うことが妥当です。よって、この選択肢は誤りとなります。この選択肢のようにCIC管理をせず、24時間留置するのであれば、間欠式バルーンカテーテルではなく、通常の尿道留置カテーテルの使用で十分です。

引用参考文献など

1)野﨑祥子.田中純子ほか編.Ⅱ CICの方法.すぐにわかる!使える!自己導尿指導BOOK.第2版,メディカ出版,2012,74-79.

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