2017/05/09 のクイズ

褥瘡予防のケアで誤っているものはどれでしょうか?
  1. 1. 脳梗塞で入院した80歳女性。右完全麻痺があり、座位の保持は可能であるが、自己で体位変換ができない。骨突出があるため、体圧分散マットレスを使用した。
  2. 2. 心不全で入院した75歳女性。ベッド上安静。座位の保持が可能なため、下肢を軽度、挙上・屈曲させ、頭部を45度ギャッジアップし、座位の保持を行った。
  3. 3. 80歳男性。慢性腎不全により全身の浮腫があり、仙骨部の皮膚が脆弱である。褥瘡予防として仙骨部にポリウレタンフィルムを貼付した。
  4. 4. 呼吸不全により、鎮静下で人工呼吸器管理中である70歳男性。バイタルサインが安定したので、軽度側臥位にした。

挑戦者5081人 正解率43%

1. 脳梗塞で入院した80歳女性。右完全麻痺があり、座位の保持は可能であるが、自己で体位変換ができない。骨突出があるため、体圧分散マットレスを使用した。
不正解

長時間、同一体位をとると、下になっている受圧面積が狭い部分に褥瘡が発生する危険性があります。体圧分散マットレスなどの体圧分散寝具は、受圧を分散でき、褥瘡予防に効果があります。
褥瘡予防のためには「骨突出による圧」と「頭部挙上による圧とずれ」を解消することが重要です。そのため、自力体位変換能力、骨突出、頭部挙上のアセスメントを行い、適切な体圧寝具を選ぶことが必要です。また、麻痺側は感覚障害を伴っているため、自力体位変換能力がない場合には褥瘡ができていないかどうかを十分に観察しましょう。

2. 心不全で入院した75歳女性。ベッド上安静。座位の保持が可能なため、下肢を軽度、挙上・屈曲させ、頭部を45度ギャッジアップし、座位の保持を行った。
不正解

頭部を先に挙上すると、身体が足元に滑り落ち、摩擦とずれが生じてしまいます。頭部挙上による圧とずれをなくすことが褥瘡予防のためには必要です。そのためには、まず大転子部とベッドの屈曲部位を合わせることで頭部挙上時のずれを少なくします。次に、膝関節を挙上、屈曲するため、軽度ギャッジアップを行うか、膝下にクッションを入れると安定します。最後に頭部挙上し、体位を調整します。

3. 80歳男性。慢性腎不全により全身の浮腫があり、仙骨部の皮膚が脆弱である。褥瘡予防として仙骨部にポリウレタンフィルムを貼付した。
正解

浮腫があり、皮膚が脆弱な患者さんの場合には、少しの摩擦やずれで表皮が剥がれてしまいます。ポリウレタンフィルムを貼付することで、皮膚を保護したい気持ちは分かりますが、剥がす際に表皮も一緒に剥がれてしまうことがあります。そのため、創がない場合には、貼らずにできる褥瘡予防を考えましょう。
局所的な予防策として、まずは皮膚の乾燥具合に合わせて白色ワセリンなどで十分な保湿を行います。また、ケアによる摩擦を最小限にするために、丁寧なケアを心掛けることが大切です。全身的な予防策としては、栄養や浮腫の改善、体圧分散寝具の使用を検討します。

4. 呼吸不全により、鎮静下で人工呼吸器管理中である70歳男性。バイタルサインが安定したので、軽度側臥位にした。
不正解

仰臥位を長時間とると、仙骨部や踵部(しょうぶ)などの受圧面積が狭い部分に褥瘡が発生する危険性があります。クッションなどを用いて軽度側臥位にすることで、除圧と体圧分散を図ることができます。
毛細血管の内圧は32mmHgで、これ以上に圧力が血管壁に加わると、毛細血管が閉塞し、皮膚組織の循環障害を起こします。そのため、簡易体圧測定器がある場合には、骨突出部の圧を測りましょう。なお、測定値の目安ですが、最近の研究では、40mmHgでも良好な血流が確認できているという報告があること、また、現実的には32mmHg以下にすることが難しいこともあり、測定値の目安は、40mmHg以下とします。
鎮静下で人工呼吸器装着中の患者は、自己で体位変換ができない上に、呼吸や循環、代謝などの機能障害を認めるため、褥瘡の発生リスクが高く、褥瘡予防のケアは大切です。

引用参考文献など

1)日本褥瘡学会編.在宅褥瘡予防・治療ガイドブック.第2版,照林社,2012,240p.
2)真田弘美ほか編.改訂版実践に基づく最新褥瘡看護技術.照林社,2007,320p.
3)日本褥瘡学会編.褥瘡ガイドブック.第2版,照林社,2015,272p.
4) 渡邊千登世編.館正弘監.褥瘡治療・ケアの「こんなときどうする?」.照林社,2015,264p.

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