消化器系（96問）　状況設定問題

第102回午前94問

次の文を読み問題1に答えよ。
Aさん（40歳、男性）。入院時体重65kg。既往歴に特記すべきことはなく、全身状態は良好である。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は450mLで輸血はされなかった。術後1日、体温37.5℃、呼吸数24/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg。Hb14.8g/dL。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉92％（酸素吸入3L/分）。尿量50mL/時。創部のドレーンからは少量の淡血性排液がある。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、創痛が強いため呼吸が浅く、離床はできない。

問題1
術後1日のAさんのアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。

1.　体温の上昇は感染による。
2.　脈拍の増加は貧血による。
3.　血圧の上昇は麻酔の影響による。
4.　酸素飽和度の低下は創痛による。
5.　尿量の減少は循環血液量の減少による。

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解答・解説

1.　体温の上昇は感染による。: 手術直後の体温の上昇は感染によるものではなく、生体防御反応の1つであると考えられる。
2.　脈拍の増加は貧血による。: Hb14.8g/dLであり、貧血であるとは考えられない。脈拍の増加は痛みにより交感神経が優位になっていることによると考えられる。
3.　血圧の上昇は麻酔の影響による。: 麻酔薬は血圧に影響を及ぼす。多くが血圧を低下させるものであるが、高血圧になるものもある。しかし設問では術後1日とあるので、麻酔薬が残存していると考えるより、状況設定文にあるように強い創痛によって交感神経が優位となって血圧が上昇していると考えるのが妥当である。
4.　酸素飽和度の低下は創痛による。: 創痛が原因で呼吸が浅くなっていること、離床ができないことから、酸素飽和度が低下していると考えられる。
5.　尿量の減少は循環血液量の減少による。: 状況設定文に「術中の出血量は450mLで輸血はされなかった」とある。その他の輸液量の記載がないので判断できないが、正解を2つ選べという問題であるため、尿量の減少の原因に循環血液量の減少があると考えれば、他に正答肢がないため、これが正答となる。