ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~【7-3】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本7巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

自分のクリニックの方針に疑問を持つ小紫さんは、持田さんが気になって……(【7-2】はこちら

 

(少しでも外の世界に触れて正気を保たないと…)と思い、勉強会に参加した小紫さん。そこには「質問いいですか?」とぐいぐい参加する深原さんもいました。小紫さんは(またいた有名な人だ…)と深原さんを見て、その後のグループワークで同じ班になり(わっ…しかも同じグループになった…)と思いました。「私思うんですけど…」とペラペラと話す深原さんを見ながら(ひっかき回してるよ)と思っていると…

 

「テーマに戻りましょう。ICTについてまずみんなから感想を言っていくのはどうでしょう。持田と申します」と持田さんが言いました。

 

持田さんは逸れていた話し合いを戻し、全員が話し合えるように回しました。そんな姿を深原さんは尊敬のまなざしで見ていました。

 

小紫さんは(あの人があの持田?まさかね…)と思い、勉強会が終わった後も彼女を見ていました。すると、深原さんが持田さんに駆け寄っていくのが見えて、(あ…行くんだ…)と2人を見ながら思いました。そして(でも、たぶん)

 

(あれが持田さんて人だ)と確信していました。後日職場で勉強会のお知らせのチラシを見ている小紫さん。(この人また馬淵って人と学会発表してる。勉強会も主催してるんだ…。一度行ってみようかなぁ)と思っていると、「ねぇー小紫さん!!所長やってくんない?所長が急に辞めるって言ってきてさー」と院長に話しかけられました。

 

小紫さんは「やですよ。私ももうすぐ辞めるんで」と言いました。「エーッそんなそんなどーして!?いつから考えてたの?」「入った時からですかねーフフッ」「えーっなんでどうして!?」と話します。「それは先生がク●だからです!!」「えーその黒丸に何が入るの?」「ソかズのどっちかです♡」「ちょっとちょっとー今やめられたら困るよー」と話し、小紫さんは(うるせーバカ。どうせ浮気がバレたんだろ?)と思いました。

 

「前から思ってたんだけど小紫ちゃんてさ…俺にちっとも…心開かないよね?ていうか彼氏いるの?」と院長が聞くと、「そういうのセクハラ♡って言うんですよ院長」と小紫さんはかわしました。「でも本当…小紫ちゃんは仕事もできるしいてくれると本当~に助かる!!…そんな君はなぜそもそもウチに来てくれたの?」と院長に聞かれて「給料がいいからです」と小紫さんは答えました。すると院長は「…フム。なるほどじゃあ…」と言って…

 

「所長やるなら月20万アップするからやってくれない?」と小紫さんに言いました。小紫さんは(金、金、金。この世は金が欲しい人だらけ。あの独居の女性はかなりの資産を持っていたそうだ。それを狙う親類を避けるために遺産は全額自治体に寄付することになっていたとか…)と独居の女性を思い出しました。

 

小紫さんは「いいですよ。やります所長」とだけ言い、(…いずれする転職先を考えとかないと)と思いながら職場を後にしました。後日、看護師紹介所に来た小紫さんは「訪問介護がやりたいの?」「はい」と受付のおばあさんと話しています。「今も訪問看護やってるので」と小紫さんが言うと、「あらそう。訪問看護ステーションは求人がたくさんきてるけどどういうところがいい?」と受付の人に聞かれました。

 

「そうですねぇ…給料がいいところですね」「あらーそうなの?そうなると…まぁどこも大差はないわねぇ…あっ!!Aホームクリニックは!?ここは高いわよ!!」と教えてくれましたが、「…今そこにいるんで…」と小紫さんは答えました。受付の人は「あらぁ…じゃあなんで辞めるの?」と聞き、「まぁ…いろいろと…Aホームクリニックより条件が言いところがあれば移ろうかなと思って」と小紫さんは言いました。「…なるほどねぇ。あそこ給料がいいから申し込む人多いのだけど…なんか断られちゃうのよねーなんで?」と聞かれて、「キレイな人しか採らないんです」と答えました。

受付の人は「…あきれた…それが本当ならもう協会では扱いたくないし抗議したいところだわ…看護師をなんだと思ってんのかしら」と怒り始めました。小紫さんは(言うんじゃなかった)と思いましたが、「Aクリニックは若い人がいいとは言われてたけどそういうことだったとはね…!!あなたは美人だから採用されたのねきっと。あなたも今の条件よりいいところ探すなんて都合のいいこと考えずに今いるAホームでしっかりキャリアを積んでいくのが大事なんじゃないの?」とまくしたてられました。小紫さんは「…そうかもしれませんね」とだけ言い、「わたしの時代ではお礼奉公と言って少なくとも3年は勤めたものよ…」と受付の人がくどくどと話し続けました。

すると、「あら稲葉さん!!」と受付の人が来客に気づきました。「ちょっとー聞いたわよこの間の…」と2人で話しだしました。受付の人が「あらそうだ!!あなたの訪問看護ステーションで人を募集してたでしょ?今ちょうど探してる人が…訪問看護希望でね」「あらそうなの?」と小紫さんを置いて話しました。小紫さんはその会話を聞いて(え、マジ?ちょっと勘弁してよー。個人情報とかコンプライアンスとか…おい…)と思いました。

受付の日と話していたのは持田さんの病院の師長でした。「こんにちは、初めまして。訪問看護をされたいの?」と師長に話しかけられた小紫さんは(あれ?この人なんだろう)と不思議に思いながら「いえ…実は今していて…」と口を開きました。

(他の人と違う…物腰、話し方…一瞬で私に合わせてきた)「実は既に訪問看護はしています…名ばかりですが」と小紫さんは答えました。師長が「今はどちらにお勤め?」と聞き、「Aホームクリニックです」と答えました。

師長は笑顔で「あぁ存じてますよ。あのクリニックの先生にはお世話になりましたようちも」と言いましたが、小紫さんは(すごいタヌキじゃん。ヤバイよこの人)と思うのでした。
※表現の都合上、マスクなどの描写を省略している部分があります。

【おわり】

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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