ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~【4-3】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本4巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

自宅で最期を迎えた西田さんの姿を語る持田さん。増岡さんの反応は……

 

前回のあらすじ

 

 

当時のことを思い出して、「太陽のような人だったから湿っぽいのは嫌だったんじゃないかな。あと、同時に同情されるのも嫌だって言ってた。」と思い出しました。景子さんは、あるとき病室で「同級生とか中途半端な友人がやっかいなの。かわいそう…心配…気の毒…なにかできることあったら言って。そういうけど、大丈夫、私はあんたより幸せだから!!私は私なりに幸せだから、自分の人生に集中して!!」と言っていました。

 

増岡さんはしばらく考えて「彼女らしい………そしてすごくわかる。皆、不幸な人というものを見て自分の幸せを実感したいだけなのよね…。あとはいい人ぶりたい…とかか、本当幸せは条件じゃないのに。病気だから、不幸とか…安易に考えすぎる。彼女のように…最期まで自分らしく生きる人生のどこが可哀相なんて思えるのか…。」と少し熱くなりました。

 

黙って聞いていた持田さんは、「増岡さん……在宅どうだった?感想聞けてないけど。一か月くらいしかいられなかったから、看取りもあまり当たらなかったけど…。」と質問しました。増岡さんは、「…在宅の良さは多少わかったわね…。でも私は病棟ナースの最前線に立って戦士のように働く姿が好きなの。私がやらなきゃ誰がやるというあの感じが私に合ってる。」と答えました。

 

続けて決意したかのように、「今、コロナで泣きながら働く同僚を見て、私自身を奮い立たせてる。」とはっきり伝えました。持田さんは一言、「残念。もう少し一緒に働きたかった。あなたと。」というと電話を切るのでした。

 

翌日、持田さんは珍しく遅刻して出勤しました。馬渕さんが「昨晩、藤田さん腹痛で呼ばれたの。今月受診の電話しないとイレウスかも。別件で日野さん、嚥下落ちてるからリハビリ依頼してみようよ。」と仕事について声をかけますが、なんだか元気がない様子のようでした。

 

持田さんは、「時々前に進むのがキツイ時がある。患者さんのためにより良い一日を送れるように…そう願っているのに、私自身がクタクタな時がある。コロナで皆 大変なのだ…疲れてる場合じゃない。増岡さんも前線で耐えてる。私だって…頑張らなきゃ。」と思いつめていました。すると後ろからポンと背中を押されました。

 

同僚の馬渕さんでした。「どうした?元気ないじゃない。調子悪い?」と馬渕さんは心配して声をかけました。持田さんは、「…あんたに気に掛けてもらえるとは…嬉しいようなそうでもないような。」とふざけると

 

ぱっと席をたち「なんでもないわ。大丈夫よ。今日は新規の方と会ってくるから、忙しいなと思って。」と答えると、「大変だったらいつでも言って。」という馬渕さんに笑顔で応えて職場を出てました。扉を締めながら(景子さんもこんな気持ちだったのかも)とぼんやり思うのでした。

 

「自分の悩みは自分で解決したい。誰かに助けてもらわなくていい。なぜなら自分でしか解決できないから。」という景子さんに持田さんは、「…でも誰かに助けを求めるのも大事じゃない?だって旦那さんにもこうして支えられてるし。」と珍しく反論したことが一度だけあった。いつも強い主張と気持ちを持つ景子さんに慣れていたつもりだった。けど景子さんは「それでも絶対に解決できないことがある。」というのでした。

 

「その残された問題が私そのものなんだと思う…。例えば、死にたくないって言ったところでそれが叶うなら言ってる。叶わないから言わない。皆が困るだけだから、皆が困る顔が見たいわけじゃないから。」とまっすぐ持田さんを見つめていいました。

 

当時、持田さんはそう景子さんに言われて、(あの時、私はなんて返事したらいいかわからなくて黙ってしまった…)と思ったことを思い出しました。

 

そして、(あの時の彼女の言葉をあの後も何度も何度も考えて答えなど出なかったけれど…。今はこう思うの。)と考えると、「…わかる。景子さんあなたの言う通りよ。誰かに解決してもらえる問題とそうでない問題がある。辛くても踏ん張って自分で解決しなきゃ、いけない問題があるね。」と一人、車の中でつぶやきました。

 

そしてタブレットを操作すると、今日が景子さんの命日だったことを思い出す持田さんなのでした。

【おわり】

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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