ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~【4-1】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本4巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

「あなた、あたしから患者を取ったことあったじゃない」と持田さんに語った病棟看護師・増岡さん。そのわけは……?

 

退院カンファに訪問看護師がくることを知って怪訝な顔をする、看護師の増岡さん。当時、増岡さんにとって私の訪問看護師に対するイメージは最悪でした。実習に行った時見たのは体温と血圧測って、薬飲めてるか聞いて帰るだけという経験をして

 

(こんなのヘルパーさんでもできる……訪問看護って楽な仕事だな…。あたしはバリバリ働きたい…技術や症例を多く学んでどこでも通用するナースになりたい…。訪問看護師なんて絶対なりたくない…!!)と強く思うのでした。

 

表紙のイラスト

 

増岡さんにとって忘れられない患者さんの一人、西山景子(28)さんは美しい人でした。大腸癌のステージIVでありながら、「今日、担当増岡さん。やった!!採血増岡さんだと痛くないんだよねーと笑顔を見せてくれる人でした。

 

「採血の痕がまだ消えないね—。この間PICC詰まっちゃったみたいね…。」と増岡さんが言うと、景子さんは、「そうなの…血管もろくて細いんだって…。今後はポートにするってDr言ってた。ポートにしたら家に帰れるかな?」と言いました。彼女はとにかく彼女はとにかく家に帰りたがっていました。在宅でここまでの治療は無理だとやんわり伝えながら、(Drや私達も家に帰したい気持ちは山々だ。彼女は新婚さんだったし、旦那さんは心から彼女を大事に想っていた)と考えました。

 

でも今想えば…皆に迷惑が掛かり…本人も家に帰るのは不安だったのかもしれない。そんな時旦那さんが相談したのが、近くの訪問看護ステーションだったようで…。後日、「初めまして景子さんから依頼されて来ました。訪問看護師の持田と申します。」と持田さんが来ましたが、増岡さんは(は?訪問看護師だろ?お前に麻薬とドレーン管理できんのかよ)と悪態をつきました。

 

早速、持田さんは、景子さんの状態を確認します。そんな様子を不安げに見ていた景子さんは、「…看護師さん、私家帰れますか?」と聞きました。持田さんは優しく笑い、「多分大丈夫よ。」と声をかけると、景子さんは急に「うわぁーーーー」と喜び、涙を浮かびあがらせました。

 

「嬉しい…。家に帰れる—。…家に……嬉しい—。嬉し—い。いつ退院できます?」そう喜び、涙を流す景子さんの喜びように増岡さんも驚きました。そおれから翌日には彼女は退院したのでした。

 

「すぐ帰ってくるだろ」という医師たちは言いましたが、彼女は帰ってきませんでした。余命1か月くらいと思っていたのが、3か月になり季節が変わった頃亡くなったと聞きました。師長から「あっ そうそう、例の西山さん。訪問看護ステーションから連絡があってね、最期は穏やかで笑顔もみせたそうよ…。」と聞いて複雑な気持ちになりました。

 

病棟看護師は最期を看れないケースが多い。でも別に、それは当たり前のことだ…。そうは思っていても、この時はなんだかポッカリ心に穴が空いたような気がしたのでした。その後も、持田さんは時々病院に訪れました。

 

増岡さんは、なんとなく(気にくわない…)と感じます。(ここは私の職場。そこで我が物顔で楽しそうに患者さんと話し、挙句奪っていくあの女は何様!?)と思い、師長に言うと、「国の政策が在宅推進だから」と説明を受けますが、(そういう事じゃない…。モヤモヤするな…患者さんが喜んでいるならいいって話だけど。)とどこか煮え切らない感じがしていました。

 

(あの正義漢ぶった、いい事してる感が鼻につくのかも…。私 いい看護してますって すごいでしょ?偉いでしょって感じ。)と当時のことを伝えた増岡さん。だまって聞いていた持田さんは…

【2】に続く

 

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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