【マンガ】こころのナース夜野さん(7)

(前回までのお話は▶こちら

自殺をしようとして運ばれてきた患者さん。

精神科ナース・夜野さんは隣で月を観ていて…。

 

私と酒木さんの2人は、誰も居ないフロアで、ただ明るく光る満月をじっと見ていました。私は、暗い中の明るさが体に染み込んでいくようにも感じました。

 

 

しばらくして、酒木さんは静かに立ち上がると、「ありがとうございます。」とお礼をいい、病室へと戻っていきました。翌日、私は師長へ「酒木さんに目をみてありがとうと言われました。何も言えなかったんですが…。」と伝えました。

 

 

複雑そうにしていた私に、「いいこと言おうとしなくていいのよ。沈黙の会話というものもある。一緒にいる、一緒にやるというだけでもいいのよ。それも看護なの。」と説明しました。外に見えた月を見て、酒木さんのことを思い出し、『無理にわかろうとしなくてもいいのかな』と感じました。

 

 

酒木さんの病室へ向かい「あの後眠れましたか?」と声をかけると、酒木さんは「少し…。ちょっとお願いがあるんですけど、家の鍵が閉まっているのか確認したいので、家に帰っていいですか?あと着替えとか荷物も取りに帰りたいんです。」と言いました。『一人で行って万が一自殺したら…』という考えもよぎり、スタッフでの話し合いの末、私がついていくことになりました。

 

 

酒木さんの家の鍵はやはり開いたままになっていました。「大丈夫かなぁ、中…。」と扉をあけると、畳一面が血で染まっていました。酒木さんは「うおっ」と驚くなり、「スマホにもついちゃってる!」と血がついた携帯を取り上げました。

 

 

そして、「あ~これ落ちるかな~?」と畳の血を拭い始めたのです。呆然としていた私は、はっと我に返り「手伝います!ゴム手袋とタオル持ってきたので…。」と床をふく手伝いをしました。すると床に包丁が落ちていることに気が付きました。さびている包丁を洗いながら、『さびてる…こんなんで切れるのかな?』と思いました。

第8話(最終話)は、1/12(日)公開予定です。

 

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【著者プロフィール】

水谷緑(みずたに・みどり)HP

水谷緑

著書は「コミュ障は治らなくても大丈夫」(吉田尚記、水谷緑)「まどか26歳、研修医やってます!」「あたふた研修医やってます。」(KADOKAWA) 他。小学館「いぬまみれ」にて犬漫画「ワンジェーシー」連載。

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