これが私の…|マンガ・こんな私も3年目~みちよのナース道【最終回】

これまでのお話

今回で最終回!みちよが看護師として大事にしたいこと。

タイトル:これが私の…。彼は橋本さん。3年前に肺がんで手術をした患者さんです。みちよが新人のときから担当させていただいて、何もできなかったみちよでしたが、明るくフォローしてくれたり、気にかけてくれて、なにかとかわいがってもらっていました。

しかし3年後の今、全身への転移がみつかり、橋本さんは再び入院してきました。予後が悪いとわかった後も、橋本さんは明るく「大丈夫!なんたって私には目標があるからね、まだまだ死ねないよ!」とよく笑顔で話されていました。

 

 

そんなある日のこと、みちよは師長から呼びだされました。そして師長から「あなたには来月から参加に行ってほしいんだけど…。」と切り出されました。以前から参加を希望していたみちよはこの申し出に喜びました。でも頭をよぎったのは、プリセプティーや患者さんたちのことでした。

「ずっと行きたかった参加へ行けるのは嬉しいけど…プリセプティーや受け持ちの患者さんを見届けられないのは申し訳なくて…。」と今の気持ちを同期に打ち明けたみちよ。すると同期は、「そんなこと心配してるの?ちとせちゃんあんたよりしっかりしてるし、患者さんたちは私たちがフォローするから大丈夫よ。」と私の背中を押してくれました。

 

 

参加に異動してからしばらくして、少しずつ新しい仕事にも慣れ、新生児室を任せてもらえたり、分娩のヘルプにつかせてもらえるようになりました。そんなある日、0経40週陣発入院で緊急で分娩室に運ばれてきた患者さんがいました。

分娩室で「橋本さ~ん、分娩監視装置つけますよ~。」と診察は続けられ、みちよはふと『橋本さんてもしかして…』と気がつきました。そう…この妊婦さんは以前『目標があるからまだ死ねない、目標は孫の顔を見ること!』と語っていた橋本さんの娘さんだったのです…!みちよは、『なんという巡り合わせだ…』と驚き喜びました。

 

 

橋本さんの分娩非ルプに立ち会わせてもらい、赤ちゃんは無事に産まれました。その後、新生児室のガラス越しに橋本さんが孫の顔を見に姿を見せにきてくれました。孫をみたときの顔といったら、それはそれは素敵な笑顔でした。

この時、私は改めて、看護師になってよかったと思いました。様々な立場で懸命に生きる患者さんたちから、いつも元気や勇気をもらっていたと気づいたからです。みちよはこれからも患者さんたちがすこしでも笑顔になれるようお手伝いがしたいと思いました。そしてそれこそが、私の看護道なのかもしれないと思うみちよなのでした。

 

 

【最終回に寄せて】

今回でこの作品は最終回となります。
力が及ばず拙い部分も多かったと思いますが、自分なりに沢山の人に楽しんで欲しいという想いで作品を描いておりました。
最後までお付き合い頂いた皆様、本当にありがとうございます。

2019.08 にわみちよ

 

 


【著者プロフィール】

にわみちよ

埼玉県出身。高校の衛生看護科、看護専攻科を経て20歳で正看護師免許を取得、地元の総合病院に就職する。外科のほかに産科や企業看護師、産後ベビーシッターなども経験。妊産婦新生児向けのリフレクソロジーも行っている。H19年にマンガ家としてデビュー。最新刊『現役警察官の事件現場ナイショ話』 (バンブーエッセイセレクション)発売中!

 

『ナースになったらピュアな心がなくなりました。』 (バンブーエッセイセレクション) 好評発売中!

◆月刊誌『本当にあった愉快な話』(竹書房)

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