失言|〈マンガ〉モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~【3】

金田さんのことを尊敬しているからこそ、出てしまった言葉は…。

(▶これまでのお話

 

マンガ・モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~

Vol.3 失言

看護師の持田さんに、引き続き「困った患者さん」の話を聞いてもらっています。その困った患者さん=金田さんは「元看護師」のわりに自己管理ができておらず、勝手な判断が多かったため、症状の進行が早かったようです。そうして看護師たちを困らせていました。

 

その他にも金田さんには、足浴や移乗の際、独自の謎ルールがあり看護師たちを困らせていました。謎ルールに基づいて行う看護師たちへの細かい注文はあくまで「指導」であると本人は言うのでした。

 

私たちは金田さんへの対応に手を取られ、他の方のケアがままならなくなった結果、他の方からクレームが来るようになりました。そうしてスタッフは疲弊していきました。また金田さんは介護士をバカにするような言動もあり、介護士たちは特にモチベーションを保てなくなっていきました。そのような中でもより良い対応をみんなで必死に考えるのでした。

 

そこで金田さんのこだわりであった毎回5種類のハブラシを使って行う口腔ケアは、日中は本数を減らしてもらったり、また通いと泊まりの日を減らしてもらうなど工夫していきました。しかしそれが裏目に出てしまい、金田さんは余計に荒れていき、数々のひどすぎる罵声を浴びせるのでした。そうして私たちは体力的にも何より精神的にもつらくなっていくのでした。そんな中でも決して手技がおぼつかないわけではないのです。

 

何もしていない介護士に対して、「この人に殺される!!」「この人嫌いなの!他の人がいい!」と差別的な罵倒の言葉を浴びせるのでした。この介護士は飛び抜けてできるタイプではありませんでしたが、「中年男性」ということが金田さんにとっては嫌だったようです。私は同じ看護師として、とても悲しく「どうしてそういうこと言うの?何もされてないのにひどいこと言って!聞いてるこっちがつらくなる」と思わず金田さんに言ってしまうのでした。

 

「あんこと言われたら傷つきますよ」「どうしてなんですか!?私 あなたのこと尊敬しているのに残念です」と思わず本音を言ってしまうのでした。薬の副作用や病気の症状のせいかもしれませんが、それでも言っていいことと悪いことがあると思ったからです。金田さんは何も言わず黙って聞いていました。私は家に帰った後、患者さんに意見してしまったことを反省し悶々と悩み、金田さんに思いを馳せるのでした。

 

(編集部注)

この物語は、事実を基にしたフィクションです。関係者に合意を得たうえで、プライバシー保護に十分配慮して創作しています。

 


【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

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