看護師派遣の種類

看護師派遣の種類とそれぞれの特徴についてご説明します。

この記事のポイント

  • 看護師派遣は期間によって単発・短期・長期・紹介予定の4つに分かれる
  • それぞれに特徴があり、目的に応じて選ぶ必要がある

看護師派遣の種類…長期・短期・単発・紹介の4種類

看護師派遣は派遣期間に応じて、次の4種類に分かれています。

  • 単発派遣…1つの派遣先が1日~1週間の超短期の派遣
  • 短期派遣…1つの派遣先が2~3ヶ月までの派遣
  • 長期派遣…更新を繰り返し最大3年間同じ派遣先で働けるロングスパン型派遣
  • 紹介予定派遣…1日~最大6ヶ月の派遣期間終了後、直接雇用化されることが前提の派遣
単発派遣 短期派遣 長期派遣 紹介予定派遣
派遣期間 1日~1週間 2~3ヶ月 3ヶ月以上
(最大3年)
1日~最大6ヶ月。
その後、直接雇用化が前提
求人
  • 巡回健診や健康診断などの健診業務
  • 看護師が休んだ際の助っ人
  • その他臨時で看護師が必要となった場合
  • 社会福祉・介護施設の求人が多め
  • 病院やクリニックなどの求人も比較的見つけやすい
  • 社会福祉施設/介護施設が最も多い
  • 介護施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス、有料老人ホームなど)や訪問看護ステーションの求人が多い
交通費 支給無しが多い 支給あり 支給あり 支給あり
時給 同じ 同じ 同じ 直接雇用化後の給料を考慮し決定
有給休暇 なし なし あり
(6ヶ月以上の場合)
直接雇用化されてから6ヶ月後に付与
向いている人
  • ダブルワーカー
  • 単発バイトを探している人
  • 「いつまで」と期間を決めて働きたい人
  • 2~3ヶ月間だけ働きたい人
  • 「いつまで」と期間を決めて働きたい人
  • 3ヶ月以上同じ場所で働きたい人
  • 将来、直接雇用化を狙いたい人
  • 面接がニガテな人
    (実際に働いている姿で評価してほしい人)
  • 慎重に職場を見極めたい人
  • 初めて働く施設に挑戦する人

看護師の単発派遣

単発派遣は1日~1週間程度の“超”短期間派遣を差す

単発派遣は、看護師の派遣のうち最も期間の短いもの。派遣会社により定義は異なりますが、1つの職場への派遣期間が1日~1週間程度のものを差す場合が多いです。一般的に「日雇い派遣」と呼ばれるものも、この単発の中に含まれます。「この日はA病院に、次の日はB病院、来週はC病院とD病院…」というように、1つの職場には最短1日、長くても数日間しか派遣されません。

看護師の単発派遣のメリット
  • 単発バイトよりも高時給
  • 時間的制約がある場合も都合に合わせて働くことができる
  • ダブルワーク向き
  • 派遣会社によってはすぐにお給料を受け取れる
看護師の単発派遣のデメリット
  • 求人数が少ない
  • 社会保険に加入しづらい(2ヶ月以上・週所定労働時間の3/4以上の雇用契約が必要)
  • 本業にした場合に収入が不安定
  • 毎回異なる派遣先に行かなくてはならない
  • 交通費の支給がない場合が多い

単発派遣が向いている看護師

  • パートタイムのように配偶者の扶養の範囲内で働きたい人
  • 「今よりももう少し稼ぎたい」「急な出費に備えたい」といった理由でダブルワークを希望している人
  • 「週4日以上フルタイムで働くのは難しい…」など時間的制約がある人

に向いています。単発派遣の時給は一般的にアルバイト・パートよりも高めに設定されているため、都合の良いときに働いて稼ぎたいという人から選ばれる傾向にあると言えます。

単発派遣の働き方が向いていない看護師

  • 安定して働ける職場を求めている人
  • ダブルワーク(副業)禁止の職場にお勤めの人
  • 60歳未満で世帯年収が500万円未満だが週20時間以上働けない人

単発派遣の看護師求人はどんなもの?

単発派遣は、1日~数日単位で一時的に人手が必要になった医療機関に派遣されます。具体的には次の3パターンです。

  • 巡回健診や健康診断などの健診業務
  • 看護師が休んだ際の助っ人
  • その他臨時で看護師が必要となった場合の代理

コラム:看護師の日雇い派遣は禁止ではないの?

日雇い派遣で働くことは、2021年4月1日から例外的に認められた社会福祉施設などを除き、派遣法で禁止されています。ですがなぜ看護師派遣では単発の案件が数多く存在するのでしょうか。それは、改正派遣法で禁止されているのは、本人と派遣会社との間で結ばれた雇用期間が30日以内の派遣の場合のみだからです。

看護師は派遣で働く場合、まず派遣会社との間に雇用契約が結ばれ、派遣会社の従業員として派遣先で働くことになります。この雇用契約が31日以上であり、かつ週20時間以上の労働があらかじめ見込まれていれば、単発派遣で働くことが許可されています。

1日7時間労働と仮定して、およそ3日間。派遣会社では、本人と雇用契約を結ぶ際に週3日以上の労働が見込まれるよう、複数の単発案件を組み合わせて、1日先までの勤務スケジュールをあらかじめ作成することで、派遣法を遵守しています。

あくまで当初に31日以上・週20時間以上を見込んだ契約をされていることが条件のため、万が一31日に満たないうちに辞める・仕事がキャンセルになった…などの事態が発生したとしても、派遣法に抵触することはありません。

では、副業OKの場合やパートで働いている場合など、本業の合間に月1~2回だけ単発派遣で働くことは、不可能なのでしょうか?どのような方法があるのか、次で詳しく解説します。

週20時間未満でも単発派遣が許される場合

単発と聞くと、気が向いたときにアルバイト感覚で働いて…という印象をお持ちかもしれません。その場合、当然週20時間以上働くことは難しくなりますが、次に挙げる条件に該当する方には、週20時間以内の派遣勤務も許可されています。

下記いずれか1つでも該当していればOK

  • 60歳以上
  • 雇用保険の適用を受けない学生(定時制・通信制を除く)
  • 本業の収入が年間500万円以上
  • 世帯収入が年間500万円以上
◯夫と私の二人世帯:夫 500万円 私 500万円
◯父・母・私の三人世帯:父 400万円 母 100万円 私 600万円
◯私一人世帯:年収 500万円(本業のみ)
×私一人世帯(副業あり):本業が年収400万円 副業が年収150万円 合計 550万円

派遣法による単発・日雇い派遣の禁止は、あくまで派遣で働く人が収入が不安定な日雇い労働者にならないよう配慮したもの。ベースの収入・生活があるとみなされる場合には、例外として認められています。

看護師の短期派遣

短期派遣は派遣期間2~3ヶ月程度のもの(更新なし)を差す

看護師派遣・短期とは、単発派遣よりは長く、長期派遣よりは短い派遣期間のものを差します。派遣会社により多少の違いはありますが、およそ2~3ヶ月程度の期間のものを差す場合が多いです。

但し、2~3ヶ月の派遣期間であっても、あらかじめ更新(同じ派遣先での派遣期間延長)が前提とされているものは長期派遣として分類されるため、派遣会社で短期派遣といった場合には、原則、更新無しの2~3ヶ月の求人を差す、と捉えて良いでしょう。

短期派遣のメリット

短期派遣のメリットは、看護師が短い期間内で効率的に稼ぐことができる、という点に尽きます。アルバイトやパートに比べて時給も高く、月収では直接雇用を上回る場合が多数。時間的融通も効くため、プライベートを大切にして働くことができます。また、条件を満たせば社会保険に加入できる点もメリットと言えるでしょう。この他、1つの職場で働く期間が2~3ヶ月と短いことから、「人間関係に縛られずに働ける」「色々な職場を見て回れる」というメリットも。特に後者では、色んな看護の現場を見ておきたいという場合にとても有効です。直接雇用で転職を繰り返すのと違って、派遣の場合は「職場を転々としている」というマイナスの印象になることが少ないからです。

短期派遣のデメリット

短期の看護師派遣のデメリットは、期間の短さに起因するものが多い傾向にあります。具体的には、

  • 長期に比べて年収が不安定
  • 社会保険や有給休暇が付かない場合がある
  • 一箇所でじっくりキャリアを積むことができない

といったものが挙げられますが、「いつからいつまでだけ働きたい」と決まっている看護師さんにとっては、とても良い選択肢の1つと言えるでしょう。

短期派遣が向いている看護師

短期の派遣は、「2~3ヶ月だけ働きたい」という人にはうってつけの派遣形態です。例えば、

  • 転職予定の職場の入職日がまだ先だからそれまでの間だけ働きたい
  • 数ヶ月先に長期で海外へ行く予定があるからそれまで働きたい
  • 近々結婚式と新婚旅行で長期休暇を取るのでそれまでの間だけ働きたい
  • 次の転職先が見つかるまでのつなぎで働きたい

など。いつまでなら働ける・いつまで働きたい、と明確に決まっている人に向いている雇用形態です。

「今すぐ辞めたい!」という人は、退職して派遣で働きながら次の転職先を見つける、というのも便利な利用方法です。もしも派遣で働いていて気に入った職場なら、正職員/正社員にステップアップできる場合もあるでしょう。

「3ヶ月働いて、3ヶ月海外に語学留学し、戻ってきて3ヶ月働いて、また海外へ…」といった自由な生活を実現できるのも、短期派遣ならではです。

短期派遣が向いていない看護師

長期安定的な雇用を求めている人は、短期派遣が向きません。2~3ヶ月で派遣が終了となるため、できる限り同じ職場でずっと働きたいと考えている人は、長期派遣や紹介予定派遣、正職員/正社員(常勤)で働く方が向いています。

短期派遣の看護師求人

短期派遣は、長期派遣のように働ける期間を気にすることなく、また単発よりも様々な職場があるため、看護師派遣の中では最も多様な求人があると言えます。長期派遣同様、社会福祉・介護施設の求人は多めなものの、病院やクリニックといった施設での求人も比較的見つけやすいでしょう。

コラム:短期派遣の看護師にも有給休暇は付与される?

有給休暇は労働基準法で定められた権利ですが、実際に有給が付与されるのは入職してから6ヶ月後ですね。派遣期間が2~3ヶ月で満了し、契約更新がない短期派遣では、有給は付かないのが一般的です。

但し、例外もあります。

労基法で、有給休暇は「雇用契約を結んだ日から6ヶ月継続勤務し、かつ全労働日の8割以上を出勤した労働者には、10日の年次有給休暇を与えること」と定められています。

派遣期間が2~3ヶ月で終了しても、その後、すぐ別の派遣先に移ることができれば、派遣会社との契約は継続されるため、トータル6ヶ月継続勤務・全労働日の8割以上出勤を満たすことができれば、有給休暇の権利を得ることができます。

派遣期間満了後、次の派遣先が見つかるまで期間が空いてしまう場合は、一時的に派遣会社との雇用契約も切れてしまいますが、同じ派遣会社で次の派遣がスタートすれば、継続勤務とみなされます。

但し、期間が長く空いてしまうと、6ヶ月継続勤務とはみなされても、「8割以上の出勤」という条件に引っかかってしまいますから注意しましょう。

派遣期間満了後すぐに次の派遣先で就業する場合の有給休暇付与条件のイメージ。派遣先A病院での勤務3ヶ月・派遣先B病院での勤務3ヶ月、トータル6ヶ月・8割以上勤務で有給休暇付与の対象になる。
次の派遣先決定まで期間があく場合の有給休暇付与条件のイメージ。派遣先A病院での勤務3ヶ月・派遣先B病院での勤務3ヶ月の間に期間があいても、トータル6ヶ月・8割以上勤務で有給休暇付与の対象になる。

有給は、初年度に10日付与され、その後一年ごとに追加で与えられ、最大年間20日まで付与されることになっています。

看護師の長期派遣

長期派遣は派遣期間3ヶ月以上のもの(更新あり)を差す

長期派遣とは、看護師さんが数ヶ月~数年間にわたって同じ派遣先に勤め続ける派遣のこと。一般的には最初の1ヶ月の試用期間の後、3ヶ月または半年おきに契約更新を繰り返し、数ヶ月から、最長で「抵触日」(最初の派遣スタッフが就業した日の原則1年・最長3年後)まで同じ派遣先で働き続けることができます。

長期派遣の勤務期間イメージ

長期派遣のメリット

  • 派遣先の変更がなく安定収入が見込める
  • 社会保険に加入できる(派遣期間2ヶ月以上が条件)
  • 長く同じ職場で働けるため、より深く現場に関われる
  • 単発・短期派遣に比べて責任ある仕事を任せてもらえる
  • 直接雇用と違って派遣先が合わなければ切り替えもできる

派遣の場合、職場を変えることは転職・退職ではなく「契約満了」という扱いになるため、経歴で不利になることなく別の派遣先に切り替えることができます。直接雇用に近い安定感がありながらも、直接雇用と違って嫌な職場にガマンしたり、職場を変えて転職時に不利になる心配がないのが、長期派遣のメリットです。

長期派遣のデメリット

短期・単発派遣と比較した際のデメリットは、特にありませんが、福祉施設・介護施設・僻地などの特殊な環境で長期間就業することになるため、後々のキャリアプランに何かしらの影響がある場合も。

長期派遣が向いている看護師

長期派遣に向いている看護師は、半年以上同じ職場で働けることから、本来直接雇用(病院の職員として)で働きたいがそれが難しい人に多く選ばれています。例えば、

  • ブランク明けなど、正職員/正社員での復帰に不安がある人
  • 育児・家事・趣味など時間的な制約がある人
  • その他、直接雇用での就業が難しいが、長く同じ場所で働きたい人

など。派遣会社が間に入る派遣ナースでは、こうした直接雇用では就職が難しい場合に、よりも柔軟な働き方が可能です。

長期派遣が向いていない看護師

  • 正職員/正社員で働くことができる看護師
  • 派遣先の職員化(直接雇用)を狙いたい看護師

長く働ける長期派遣ですが、医療機関の正職員/正社員で働ける人にとっては、そこまでのメリットはないかもしれません。また、将来職員化を狙うのであれば、次に紹介する紹介予定派遣の方が適しています。

長期派遣の看護師求人

長期の看護師派遣求人で多いものは、主に次の3つの場合です。

  • 産休・育休・介護休業に入る看護師の代わりとなって働く「産休育休代替」「介護休業代替」
  • 社会福祉施設・介護施設で働く看護師。
  • 離島や僻地など医療スタッフがじゅうぶんに居ないエリアに派遣される離島・僻地看護

求人数は、社会福祉施設・介護施設が最も多く、離島・僻地の求人はそれほど多くありません。

どの場合も最長3年の期間で派遣就業が可能ですが、産休育休代替のみ、休職中の看護師が復帰するまでの就業になるため、1年~1年3ヶ月程度で終了となってしまう場合が多く、要注意です。産休育休代替では、運良く派遣期間が終了する頃に別の産休取得者が出て、なおかつその人の代替になれる場合のみ、連続して最長3年まで勤めることができます(その場合、部署は必ず変わります)。

コラム:長期派遣で働く際は将来どうなりたいかが重要

長期派遣を選択する場合は、「将来どうなりたいか」というキャリアプランとセットで検討することが望ましいと言われています。

なぜなら長期派遣は、単発派遣や短期派遣と異なり、数ヶ月~年単位の就業。「派遣で働いていたこと」自体が経歴上不利に働くことは少ないものの、社会福祉・介護施設の看護師求人や離島・僻地など…特殊な環境での長期間就労は、後々のキャリアプランに様々な影響を与えるでしょう(大きな病院の正職員/正社員に戻りにくくなる、介護系の職場への転職が有利になる、など)。

派遣期間が長いことをデメリットにしないためにも、直近の都合だけで判断せず、人生設計・キャリアプランなども加味した上で選ぶことが重要です。

看護師の紹介予定派遣

紹介予定派遣とは派遣期間終了後の直接雇用が前提のもの

紹介予定派遣とは、派遣期間が終了した後、派遣先に直接雇用されることを前提にした働き方のこと。いわば、「正職員/正社員登用あり」(※)の求人で、試用期間を派遣としてすごすイメージが近いでしょう。紹介予定派遣は、看護師にはまだあまり馴染みのない働き方かもしれません。

病院によっては、正職員/正社員ではなく、契約職員やアルバイト・パートへの登用になる場合もあります。派遣期間終了後の雇用形態が何になるかは、事前に知らされます。

正職員/正社員化の条件は、派遣期間終了までに派遣先と本人の双方が合意すること。

派遣として働く期間は最大6ヶ月と決められており、派遣期間満了の1ヶ月程度前になると、直接雇用に向けた話し合いの場が持たれます。直接雇用後は派遣先の職員として働くため、お給料・待遇・福利厚生などは派遣先のものが適用されますが、派遣期間中は他の派遣形態と同様、派遣会社のものが適用されます。

直接雇用化は派遣先の義務ではないため、もちろん派遣期間満了後に直接雇用化されるとは限りません。但し、面接や履歴書だけでなく、実際に半年間働いている姿を見てもらえると言うメリットがあります。

紹介予定派遣における派遣スタッフ・派遣会社・派遣先企業の関係図。派遣期間中は三者関係が構築されている(派遣スタッフ・派遣会社の間には雇用契約、派遣会社・派遣先施設の間には労働者派遣契約、派遣先施設・派遣スタッフの間には指示命令関係)。派遣期間終了後は施設によるスタッフ直接雇用(多くの場合は正社員・正職員)に切り替わる。

看護師の紹介予定派遣のメリット

  • 派遣でまず試しに働いてみてから転職するかどうかを決められる
  • 転職が難しい医療機関に対して派遣で就業し、実務を通じてアピールすることで正職員に登用されやすくなる

1点目では、実際に働くことで、求人情報や病院見学ではわからない、職場の雰囲気や院内の働きやすさ、人間関係などがわかります。特に初めて介護施設で働こうとしている場合、病院やクリニックとどう違うのかが実際に働いてみて判断できるため、オススメです。

2点目に関しては、実務や働きぶりで評価してもらえるため、「正職員希望だけど面接がニガテ」という人の転職手段として、とても有効です。

看護師の紹介予定派遣のデメリット

  • 派遣先の意向で直接雇用されないケースがある
  • 有給休暇が正職員/正社員登用後6ヶ月経つまで付与されない
  • 派遣期間中は、他の短期・長期派遣と比較して派遣期間の時給が安い傾向にある

直接雇用が前提とはいえ、派遣先にとってはそれが義務ではありません。看護師が直接雇用を断れるように、相手にもその権利は存在します。紹介予定派遣で就業できたからといって気を抜かず、常に派遣先から「この人は直接雇用に相応しい看護師か」チェックされていると思って仕事に臨むことが、確実な直接雇用化への最大の近道です。

紹介予定派遣が向いている看護師

紹介予定派遣は看護師にとって、「転職しても経歴に響きにくい」という派遣の特性を活かし、「まず派遣で働いてみて自分に合う職場か確かめた上で正職員/正社員になる」という安心の転職が実現できる点が特徴です。従って、これまで就業したことのない環境に転職しようと考えた際の最初の一歩として有効です。具体的に多い事例は、初めて訪問看護や介護施設で働くとき。いきなり正職員/正社員として転職するのではなく、一度派遣で働き、よく実態を見極めた上で、正式に転職するか決める、というものです。

紹介予定派遣が向いていない看護師

はじめから正職員/正社員を望まれる人は、紹介予定派遣はあまり向かないかもしれません。但し、紹介予定派遣の派遣期間は、試用期間としての側面が強いため、直接雇用では応募条件に満たず転職が叶わない職場でも、紹介予定派遣なら転職できるというケースも存在しています。

紹介予定派遣では、看護師と派遣先の双方の合意がなければ直接雇用に切り替えることはできません。万一、派遣先が無理やり直接雇用に切り替えようとしても、看護師側が合意しない限りは、通常の派遣同様、期間満了という扱いになります。派遣の場合、期間満了で別の派遣先に移ることはある種当たり前ですから、短期間で職場が変わったり、派遣期間満了が続いたとしても、経歴面で不利になることはありません。

紹介予定派遣の看護師求人

紹介予定派遣の看護師求人で多いのは次の通り。

  • 介護施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス、有料老人ホームなど)
  • 訪問看護ステーションなど

紹介予定派遣の求人は、看護師・派遣先ともに「慎重に相手を見極めたい」というケースに多く発生します。そのため、病院・クリニックに比べて看護師にとって馴染みの薄い医療機関の求人が多い傾向にあります。

コラム:紹介予定派遣の有給休暇の扱い

看護師が紹介予定派遣で働く場合、有給休暇は派遣期間中に付与されず、直接雇用へと切り替わって6ヶ月以上経ったタイミングで付与されます。

労働基準法で、有給休暇に関して「雇用契約を結んだ日から6ヶ月継続勤務し、かつ全労働日の8割以上を出勤した労働者に、10日の年次有給休暇を与える」と定められています。最短では雇用契約を結んで半年後となりますが、なぜ派遣契約を結んでから6ヶ月後ではなく、直接雇用に切り替わった6ヶ月後なのでしょうか。

これは、紹介予定派遣で就業した看護師さんが派遣から直接雇用に切り替わる際、新たに派遣先だった医療機関と雇用契約が結び直されるため。派遣として働いている間は、派遣会社での継続勤務としてカウントされていましたが、直接雇用に切り替わることで、その職場での継続勤務がスタートします。

従って、有給休暇が出るのは、早くて正職員/正社員化された日の6ヶ月後。派遣期間が6ヶ月だとすると、12ヶ月間は有給が使えないということになります。

ただし、一部の医療機関では例外的に派遣期間をカウントしてくれる場合もあります。その場合は必ず紹介予定派遣契約書に明示されています。

A病院へ紹介予定派遣で就業した場合の有給休暇付与条件を示した図。紹介予定派遣中の6ヶ月間は一部を除き年次有給休暇はなし。その後、直接雇用に切り替えてA病院職員として6ヶ月間8割以上出勤した場合に次有給休暇10日が付与される。

派遣期間中は派遣会社のサポートを受けられる

紹介予定派遣は、派遣契約満了時に直接雇用に切り替わるとは言っても、それまでの間、看護師さんは派遣会社の従業員です。

職場のちょっとしたトラブルに見舞われた際や、上長や同僚に相談しにくい事態が発生したときには、他の派遣同様、派遣会社の専属担当者のサポートを受けることができます。