健診(検診)センターのお仕事は、「夜勤をしなくていい」「ワークライフバランスが取れそう」というイメージから、看護師向けの求人のなかでも人気の高いもののひとつです。そのイメージは合っているのでしょうか?
健診センターで働く看護師の仕事内容や、給料を紹介します。また、新卒や未経験でも健診センターで働けるのかについても解説します。
目次
健診センターで働く看護師の仕事内容
「健診」とは、健康診断のこと。健康状態を確認し、病気の早期発見や生活習慣の見直しにつなげる目的で行われます。
一方、一文字違いの「検診」は、胃がん検診や子宮がん検診など、特定の病気を早期発見・治療するために行われます。
健診センターでは前者の「健診」を中心に、後者の「検診」も行っている施設が多いようです。
では、具体的な看護師の仕事内容を見ていきましょう。
問診から身体測定、検査補助まで
健診センターで働く看護師の仕事内容は、問診から身体測定、検査補助など、多岐にわたります。
多い施設では1日に100人もの健診を行います。
一般的な健診センターでの主な業務内容は以下の通り。
【健診センター 主な業務内容】
- 問診
- 身長・体重測定、視力・聴力検査、血圧測定、尿検査、心電図検査などの対応
- 採血
- 乳がん検診、子宮がん検診、内視鏡検査などの医師の補助・患者の介助
- 内科・婦人科などの診察補助
- 健診結果のチェックやデータ入力、書類作成
- 精密検査の予約・手配
なかでも重要なのは、採血スキル。
健診センターでの採血は、病棟と違って他の看護師に代わってもらうことが難しく、大人数の採血を短時間でこなしていかなければならないため、どんな血管の人でもスムーズに採血を行えるスキルが必要です。
また、健診センターに来るのは健康な人が中心で、心理的なケアを必要とするかかわりは少ない半面、健康な方に提供する保健サービスとして利用者の確保も求められるため、接客業のような丁寧な対応が必要になるでしょう。
キャリアアドバイザー
健診の記録をデータに入力したり、書類を作成する仕事もあるため、基本的なPCスキルもあると安心です。
巡回健診に参加することも
大きな健診センターなどでは、健診車で企業や自治体の会場を訪れ、健康診断や乳がん・子宮がん検診などを行う「巡回健診(出張健診)」も担当していることがあります。
看護師も準備や設営から加わり、初めての場所でも滞りなく柔軟に業務をこなしていける力が求められます。
また、10~11月ごろは企業などに出向いてインフルエンザ予防接種を行うこともあり、そういった時期は多忙になることもあるようです。
健診センターで働く看護師の1日
健診センターの看護師は基本的に夜勤がなく、1日の検査人数が決まっているため残業もほとんどありません。
一般的な健診センターで働く看護師の1日のスケジュール例は以下の通り。
【7:30】始業・受診者数の確認や事前準備
その日の受診者の人数や、健診・検診内容の情報を収集。それをもとに、測定や検査の準備を行います。
【8:00】健診業務開始
大きな施設では、スタッフで分担し、採血、身長・体重測定や視力・聴力検査、心電図、婦人科検診の補助などの仕事が割り振られます。
小さい施設や巡回健診では、複数の検査項目をひとりの看護師が担当することも。
【12:00】休憩
【13:00】健診業務再開
午前中は健康診断、午後は特定の病気の検診などと分けている施設も。
午後の健診がなければ書類整理なども行います。
【15:30】データ入力・書類作成などの事務作業
その日に受診した人のデータを入力したり、必要な書類を作成するなどの事務作業を行います。
【16:30】終業
キャリアアドバイザー
巡回健診がある場合は、「朝6時半に事務所に集合、準備をして巡回車で検査会場へ出発、昼過ぎには業務終了」など、スタート時間がかなり早く、終わるのも早いケースもあります。
健診センターで働く看護師の給料
健診センターで働く看護師の年収の相場は、年収300万~380万円程度です。
准看護師だと1~2割ほど少なくなる傾向です。
健診センターの業務は、病棟などと違って夜勤や残業がないため手当がつかず、看護師全体の平均年収(480万~490万円)と比べると低くなっています。
ただし、病院併設の健診センターでは、外来や内視鏡室などと兼任しているケースがあり、ボーナスなども高い傾向があるため、年収額も健診専門のクリニックなどよりは高くなることが多いようです。
また、パートの場合は時給1200~1800円程度。健診センターの仕事はパートや派遣も多いですが、相場としてはあまり高いわけではなさそうです。
健診センターのメリット・デメリット
健診センターのお仕事は、ワークライフバランスが取れて働きやすい半面、求人の人気が高く、転職したくてもなかなか採用されないこともあるようです。
健診センターで働く看護師のメリット・デメリットをまとめました。
健診センターの看護師として働くメリット3つ
1プライベート重視の働き方
健診センターは夜勤がなく、1日の予約数が決まっていて残業もほとんどありません。
また、職場によっては土曜日のシフトが入ることもありますが、日曜・祝日は基本的にお休みで、年末年始やお盆休み、ゴールデンウイークなどはカレンダー通りに休めます。
プライベートを重視した働き方がしやすく、子育てなどと両立したい人には大きなメリットとなります。
2精神的なストレスが少なめ
健診センターを訪れるのは、基本的には健康な人が中心です。
そのため、病棟などで患者さんとのコミュニケーションにプレッシャーを感じていたり、ケア業務が苦手だったりした人も、比較的ストレスなく仕事ができるようです。
また、急変などで突発的な業務が起こることもほとんどなく、予定外の仕事で心身に負担がかかることも少ないようです。
3採血スキルが生かせる
健診センターの業務では、採血スキルがかなり重要視されています。
採血が得意な人は、毎日さまざまな受診者の採血をすることでスキルをさらに磨いていくことができるでしょう。
育児中などで働き方に制約があっても、「採血スキルを衰えさせたくない!」と考えている人にはピッタリです。
健診センターの看護師として働くデメリット3つ
1病棟とは違うコミュニケーション力が必要
健診センターでは、受診者とは短時間しか接しないことから、十分にコミュニケーションをとれない場合もあります。それだけに、気持ちよく健診を受けてもらえるよう丁寧に対応するスキルが求められます。
患者さんとじっくり接する病棟などと違うため、そういった点に物足りなさを感じてしまう人もいるようです。
2全般的な看護技術は身につかない
健診センターの業務では、一般的な看護師が日常的に行っているケアなどはほとんど行いません。
そのため、全般的な看護技術が身につけられず、他の分野で生かせるスキルが限られてしまう可能性があります。
3そもそも転職が難しい
看護師は全体的に人手不足で、比較的転職しやすい仕事ですが、健診センターの求人は非常に人気が高いため、かなりの狭き門となっています。
重視されるのはやはり採血スキル。血液内科に所属していたなど、「毎日何人もの採血をしていた」と履歴書からわかる人が優先的に採用される傾向があります。
その他、接遇スキルなども重視されるため、施設側が求める人材のハードルが高く、転職が難しいと言えるでしょう。
健診センターで働くためには採血スキルが必須のため、新卒看護師を採用してくれる健診センターは残念ながらほとんどありません。
健診業務の経験者を募集している求人も多く、まずは別の場所で経験を積む必要があります。
ただし、健診センター未経験の新卒1~2年目でも、採血スキルをアピールできれば、健診センターに転職できる可能性はあります。
1~2日のトライアル採用で、採血や接遇のスキルを確認されることもありますが、準備した上でチャレンジしてみてもいいかもしれません。
健診センターはこんな看護師におすすめ!
健診センターで働くのに向いているのは、以下のようなタイプの看護師です。
- 採血スキルに自信がある
- ルーティンワークをテキパキこなしていくのが好き
- 丁寧なコミュニケーションが取れる
- 朝型で早起きが得意
- 日勤のみ・残業なしで働きたいママナース
- ワークライフバランスを取って働きたい
健診センターの看護師は、採血スキルに自信がある人や、ルーティンワークをミスなくテキパキこなしていくのが好きな人に向いています。
基本的に健診センターに来る人は健康な人が多いので、丁寧なコミュニケーションが取れる人にもオススメです。
外来の経験がある人も業務になじみやすいかもしれません。
また、健診センターの仕事は朝が早く、終わる時間も早めのことが多いので、早起きが得意な人も◎。
健診センターは予約制で残業がほぼなく、夜勤もないため、働き方に制約のあるママナースにもオススメ。職場によっては土曜に出勤することもありますが、日曜・祝日はほとんど休みです。