妊婦運動療法
『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は妊婦運動療法について解説します。
立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授
妊婦運動療法
目的
・妊娠による生理的変化や不快な症状の予防・緩和。
・体重を管理し、健康な妊娠経過を過ごす。
・呼吸法や姿勢の改善、全身・局所運動、弛緩(しかん)法や補助動作などにより、分娩への身体的・精神的準備を行う。
・産褥(さんじょく)への身体的準備を行う。
・ストレス解消や仲間づくりに役立つ。
・健康な妊娠・分娩経過のための自己管理。
効果
・妊娠に伴う心身の不快症状を緩和する。
・過度な体重増加を抑える。
・全身運動による体力維持・向上、股関節や骨盤底筋群弛緩法により、筋力低下防止と分娩進行を促進する。
・運動の爽快感によるストレスを解消する。
・仲間づくりによって分娩への不安を解消する。
・出産後の出血量減少、体型回復、乳汁分泌などを促進する。
妊婦運動療法のバリエーション
①マタニティ・ビクス
エアロビクス理論に基づく妊婦のための有酸素運動。心肺機能増進、筋肉増強を目的としている。
②マタニティ・ヨガ
心のコントロールを目指すヨガに基づく妊婦のためのエクササイズや呼吸法。身体感覚の向上や呼吸法を身につけることを目的としている。
どの運動療法を選択するかについては、妊婦のこれまでの運動習慣や興味によって異なる。しかし、いずれの運動療法も、運動経験のない妊婦でも参加できるようにプログラムが組まれているので、初心者でも参加が可能である。レッスンに参加しやすい場所、時間、費用などを考慮して、妊婦自身が楽しく継続できることが最も重要である。
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引用・参考文献
1)田中泰博監:マタニティビクス・テキストブック、p.4~5、18、日本マタニティビクス協会、1997
2)森田俊一:妊婦のためのヨーガ−妊娠・分娩を楽にする体操−、p.17、26~28、31、82~83、110~114、120~121、124、メディカ出版、1991
3)松本清一監:妊産婦体操の理論と実際、p.22、社団法人全国保健センター連合会、1999
本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版