人の命を預かることがプレッシャー|現役看護師かげさんの明日を生き抜く看護メンタル(9)

『現役看護師かげさんの明日を生き抜く看護メンタル』より転載。

今回は「人の命を預かることがプレッシャー」というお悩みに答えます。

 

人の命をあずかっていると考えると、心がしんどくなってしまうことを吐露する看護師とその同僚のイラスト医療は一人でやるものじゃない、悩む看護師に伝える同僚看護師のイラスト

 

ていねいにプレッシャーと向き合う

「人の命を預かっている仕事だから」と、自分が苦しくなるほど責任感を持てるのは、本当にすごいことです。

 

しかし、そのプレッシャーがきっかけで仕事を続けられなくなったり、メンタルが崩壊してしまったりしたら、後悔するのではないでしょうか。

 

そうならないように、手前の段階で何がプレッシャーなのかを考えてみましょう

 

プレッシャーについては、よくいただく質問です。内容を見ていて感じるのは、まだ自分が勉強していない疾患や治療、知らない処置があることで、漠然と不安になっているのではないかということです。

 

これから先、また自分の知らないことがやってきたら、正しい治療や看護ができないかもしれない。そうしたら私のせいで人が亡くなってしまうかもしれない。

 

そういう考えが頭の中を巡ってしまうのは、すごくつらいですよね。

 

ここで少し考えてみましょう。自分が手順を理解していて、何度も経験している疾患のある患者さんの治療であっても不安になるでしょうか。

 

たとえば、終末期の看護をしている人が「患者さんが亡くなることに耐えられない」というのなら、終末期の病棟以外に異動するのもひとつの手段です。

 

しかしそうではなく、「わからない」ことで不安になっているのなら、自分の看護に自信が持てるようになれば、今感じているプレッシャーは軽くなるはずです。

 

自信を高める方法は、行動すること。「その行動ができないんだよ」と思うかもしれませんが、すべてを完璧にこなす必要はありません。

 

たとえば、自分が担当したことがない疾患の患者さんを先輩が担当している場合なら、ケアに入ることを申し出てちょっとでも知見を積む。直接対応するのが難しい場合は、処置に必要なものを揃えるだけでもいいんです。

 

「今日できたこと」を自信に変える

処置の手順や疾患の知識が身につくと、たとえば患者さんが副作用で苦しんでいたり、症状が急変してしまったりしても、「これは想定していた状況。落ち着いて対処しよう」と自分に言い聞かせて冷静に対処できるようになります。

 

そういう日々を過ごしていくと、仕事が終わったあとに「この前より上手にケアできた!」と思えたり、「私もけっこうやれるじゃん」と前向きになれたりします。

 

できなかったところを責めるのではなく、今日できたことを自分でほめるという習慣も取り入れてみると、気持ちが軽くなるかもしれません。

 

プレッシャーを感じている時間はつらいですが、上手に自分の気持ちと向き合うことができれば、自分が必要以上に苦しくなってしまう事態は少しずつなくなっていくかもしれません。

 

 

 

 

 

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プロフィール
かげプロフィール

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病棟看護師、保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。

看護師・看護学生に向けたわかりやすいイラストでの医療知識の解説で、ファンを増やし続けている。著書に永岡書店『ホントは看護が苦手だったかげさんのイラスト看護帖〜かげ看』、南江堂『かげさんのイラストで学ぶ 心電図と不整脈めも』など。

看護roo!では『看護師かげと白石の今週のモヤッと』を連載。

 

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