呼吸療法認定士とは?難しいって本当?合格率や看護師が取得するメリットを紹介
呼吸療法認定士は、人工呼吸器管理をはじめとする呼吸ケアのスキルアップにつながるため、看護師さんに人気の資格です。
この記事では、呼吸療法認定士を取るメリット、受験資格、合格率、勉強方法などを解説します。
目次
呼吸療法認定士とは?
「呼吸療法認定士」は、呼吸管理に関わる医療職を対象に、呼吸療法に関する専門知識とスキルアップを目的として創設された資格です。
1996年の資格創設から6万人以上の呼吸療法認定士が誕生しており、毎年の受験者数も3500人を超える人気の資格です。
呼吸ケアについて、より幅広く専門的に学ぶことができるため、呼吸器科やICUなど、呼吸ケアの多い部署でスキルアップを考える看護師さんが受験しています。
正式名称は「3学会合同呼吸療法認定士」で、名称の通り、日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会の3学会が合同で認定しています。
呼吸療法認定士を看護師が取得するメリット
呼吸療法認定士を看護師が取得するメリットは、主に以下の3点が挙げられます。
1呼吸ケアのスキルアップにつながる
呼吸療法認定士は、呼吸ケアのスキルアップにつながります。
呼吸療法認定士のカリキュラムは呼吸器の解剖生理や人工呼吸器の管理はもちろん、血液ガス分析、酸素療法、吸入療法など、呼吸ケアに関する知識・技術を幅広く、そして専門的に学ぶことができます。
「呼吸ケアのスキルをもっと磨きたい」
「COPDなどの患者さんに、もっと自身を持ってアドバイスできるようになりたい」
などと考えている看護師さんにはおすすめの資格です。
2急性期などでのキャリアアップにつながる
呼吸療法認定士の資格はキャリアアップにもつながります。
呼吸ケアは、多くの診療科で必要とされているので、活躍の場は多くあります。
なかでも、人工呼吸器の使用頻度が高いICUや救急、急性期病棟などでは、人工呼吸器管理に詳しい人材は重宝されるでしょう。
知名度もあり、履歴書に記載することもできる資格なので、転職する際はアピールポイントにもできます。
3チームの呼吸ケアのスキルアップに貢献できる
呼吸ケアは、治療が長期にわたる慢性呼吸器疾患の患者さんなど、チーム医療での関わりが重要となるケースが多いです。
呼吸療法認定士は、自身の呼吸ケアに関する知識や技術を共有することで、チームのスキルアップにも貢献できます。
後輩の指導や育成だけでなく、理学療法士など、他職種との連携もしやすくなれば、患者さんにもよりよい呼吸ケアを提供できるようになるでしょう。
呼吸療法認定士になるには?
呼吸療法認定士になるには、いくつかの条件を満たしたうえで、認定試験に合格する必要があります。
ここからは、資格取得までの流れや、認定試験を受けるための条件、資格取得にかかる費用などを紹介します。
呼吸療法認定士の資格取得までの流れ
呼吸療法認定士の資格取得までの流れは以下の通りとなっています。
認定試験を受けるため3つの条件
呼吸療法認定士の認定試験を受けるための条件は、以下の3つになります。それぞれ詳しく説明します。
1看護師としての2年以上の実務経験
呼吸療法認定士になるには、看護師として2年以上の実務経験が必要です(准看護師は3年以上)。
実務経験として認められているのは常勤のみで、アルバイトでは換算できないため注意が必要です。
2学会・講習会等に参加して12.5点以上を取得
事前に所定の学術大会や講習会に出席して、12.5点以上を取得する必要があります。
「12.5点」は、半日の学会・講習会へ1度出席するだけで取得できます。
対象の学会・講習会は公式サイトで確認できます。
3「認定講習会」の受講
試験を受けるためには、「認定講習会」を受講する必要があります。
「認定講習会」は、毎年8月ごろに2日間かけて行われる認定委員会主催の講習会で、受験者は全員受けなければなりません。
認定講習会は毎年東京で開かれますが、その講習会の様子を録画した映像を視聴する「e-ラーニング」を選択することも可能です。
呼吸療法認定士にかかる費用は?
呼吸療法認定士にかかる主な費用は以下の3つがあります。
- 112.5点の取得に必要な学術大会・講習会等の参加費用
- 2「認定講習会」の費用…2万~3万円
- 3試験の「受験料」…1万円
呼吸療法認定士の合格率は?試験は難しい?
呼吸療法認定士の合格率は毎年60%~70%ほどです。
合格率は低くはないですが、問題範囲が広く、計算問題もあり、難しいという声が聞かれます。時間を確保して計画的に学習したほうがよさそうです。
認定試験は、毎年11月に東京の会場で実施され、問題数は100問で、マークシート式です。
試験範囲は「認定講習会」の参加時にもらえるテキストを含め、呼吸療法に関する業務全般の知識が問われます。
呼吸療法認定士の勉強方法は?
ここからは呼吸療法認定士の勉強方法などについて紹介していきます。
いつから勉強を始めればよい?
呼吸療法認定士は出題範囲が広いため、毎年11月に行われる試験の半年前~1年前など、じっくり時間をかけて勉強に取り組めると安心でしょう。
とはいえ、毎日の業務が忙しい中で、8月下旬の「認定講習会」をきっかけに、本格的に試験勉強をスタートさせる方も多いようです。
いずれにしても「勉強が大変だった」という声はよく聞かれるので、自身の業務の状況や勉強スタイルに合わせて、計画的に取り組める環境を整えましょう。
どんな勉強をする?
呼吸療法認定士の勉強方法は以下のような方法があります。
- 「認定講習会」と、そこで配布されるテキストを活用
- YouTubeなど無料の動画を視聴
- 問題集やテキストを活用
- 受験対策セミナーを受講
呼吸療法認定士は、人気の資格なので、受験対策セミナーをはじめ、さまざまな勉強動画や問題集などの種類が充実しています。自身の理解度に合わせて、これらを組み合わせて学習を進めるとよいでしょう。
なお、試験問題は非公開で、公式の過去問題集などはありません。
その代わり、受験経験のある人たちからの聞き取りをもとにした、通称「青本」などの予想問題集が、何冊か発売されています。
まとめ
呼吸ケアは、患者さんの呼吸を楽にし、QOLの改善にも大きくつながるケアです。
呼吸ケアのスキルアップを目指したい、呼吸療法の専門性を高めたい看護師さんは、呼吸療法認定士の資格取得を考えてみてもよいかもしれません。
執筆:看護roo!編集部 鈴木涼太
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