看護師がケアマネジャーになるには?受験資格、合格率、給料、ダブルライセンスのメリット

看護師が取りたい資格図鑑シリーズ『ケアマネジャー(介護支援専門員)』のMV。

 

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする人のために介護サービスを提案し、ケアプランを作る仕事です。

 

患者さんの在宅生活を支えたい」「もっと患者さんの生活に寄り添う仕事がしたい」と思っている看護師さんにとっては、関心の高い資格です。

 

この記事では、ケアマネジャーになるための受験資格試験の合格率看護師とケアマネのダブルライセンスで働くメリットなどを解説します。

 

 

看護師がケアマネジャーになるには?

ケアマネジャーは国家資格ではなく、都道府県が認定する資格ですが、試験内容などは全国で統一されています。

 

 

ケアマネジャーの受験資格

ケアマネジャーの受験資格を書いた図版。医師、看護師、介護福祉士などの医療福祉系国家資格に加え、5年間(従事日数900日)の実務経験が必要。

 

ケアマネジャー試験を受けるには、看護師を含む所定の医療福祉系国家資格と、実務経験が必要です。

 

看護師として働いているなら、実務経験が通算5年以上(従事日数が900日以上)あれば、試験を受けられます。

 

 

ケアマネジャーになるまでの流れ

ケアマネジャーの資格は介護支援専門員実務研修受講試験に合格後、実務研修を受講することで取得(登録)できます。取得までの具体的な流れは以下のとおりです。

 

ケアマネジャー試験から登録までの流れを示した図版。6月ごろに試験の申込。10月上旬に介護支援専門員実務研修受講試験。12月上旬に合格発表。合格後実務研修が約2ヵ月あり、研修受講後に都道府県に登録となる

 

申し込み方法や実務研修の実施時期は、都道府県によって異なる場合があります。詳細は自分の受験する都道府県のホームページなどで確認しましょう。

 

 

ケアマネジャー試験の内容

ケアマネジャー試験は毎年10月上旬に実施されます。試験科目は以下の通りです。

 

ケアマネジャー試験の科目

試験科目 内容
介護支援分野(25問) 介護保険制度の基礎知識
要介護認定等の基礎知識
居宅・施設サービス計画の基礎知識
など
保健医療福祉サービス分野(35問) 保健医療サービスの知識
福祉サービスの知識
など

出典:厚生労働省『介護支援専門員実務研修受講試験の実施について(平成18年老発0522001)』別紙3

 

試験はマークシート式で60問あり、試験時間は計120分。5つの選択肢から正しいものを2~3個選ぶ方式です。

 

「介護支援分野」では、主に介護保険法や障害者総合支援法などの、介護・福祉に関係する法制度の知識が問われます。

 

「保健医療福祉サービス分野」では、高齢者によくみられる病気や症状の知識、対人援助(ソーシャルワーク)の知識などが問われます。

 

 

看護師の免除科目は廃止された

ケアマネジャー試験は、保有している国家資格に応じて特定の科目が免除される制度があり、看護師の場合は一部の医療系科目が免除されていました。

 

しかし、ケアマネジャーの質や専門性を高めるという目的で、2015年から免除科目の制度は廃止されました。

 

免除ではなくなったものの、対象の医療系科目で出題される範囲は、看護師国家試験に比べると狭く、看護師にとってはすでに身につけている知識で対応できる問題が多いでしょう。

 

 

ケアマネジャー試験の合格率

ケアマネジャー試験の受検者全体の合格率は20%前後となっています。合格率から見ると難易度は高めと言えるでしょう。

 

では、合格者のうち、看護師はどのくらい占めるのでしょうか? 職種ごとの内訳を見てみましょう。

 

2022年度ケアマネジャー試験の職種別合格者数

職種
(上位5職種)
合格者数
(計10,328人)
介護福祉士 6,096人
看護師、准看護師 1,849人
社会福祉士 815人
理学療法士 594人
作業療法士 285人

出典:厚生労働省『第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

 

合格者のうち、「看護師、准看護師」は毎年の合格者数の2割ほどを占めています。これは、「介護福祉士」に次いで2番目に多くなっています。

 

 

看護師・ケアマネのダブルライセンスのメリット    

看護師とケアマネジャーの2つの資格を持って働くことには、どのようなメリットがあるのでしょう?

 

看護師とケアマネジャーのダブルライセンスの人が、ケアマネジャーとして働くメリットと、看護師として働くメリットについて、それぞれ解説します。

 

看護師とケアマネジャーのダブルライセンスで働くメリットを解説した図版。ケアマネジャーとして働く場合、看護師のスキルや経験を生かした支援ができるし、日勤主体で体力的負担も少ない。看護師として働く場合、看護師としてのスキルアップにつながったり、キャリアの幅が広がったりする

 

ケアマネジャーとして働く場合

看護師がケアマネジャーとして働く場合、次の2つのようなメリットが挙げられます。

 

看護師のスキルや経験を生かした支援ができる

看護師として身につけた医療的な知識やスキルは、ケアマネジャーの仕事に大いに役立ちます。

 

在宅推進の流れから、近年は、医療依存度が高くても、在宅でケアを受けながら過ごす患者さんが増えてきました。人工呼吸器やIVH(中心静脈栄養)といった医療的な管理が必要な患者さんや、ターミナルの対応を視野に入れた患者さんも多くなっています。

 

ダブルライセンスのケアマネジャーは、看護師として患者さんの疾患や状態を見極めながら、医療的な視点からもケアプランを作成できるのが強み。医療機関・訪問看護とのスムーズな連携にも、看護師としての経験は生かされます。

 

看護師とケアマネジャー両方のスキルを生かして患者さんに寄り添う支援に、やりがいを感じる看護師さんは多いでしょう。

 

日勤主体で、体力的負担が少ない

看護師からケアマネジャーへキャリアチェンジすると、働き方が変わります。

 

ケアマネジャー業務で夜勤があるところはほとんどありません。また、定期的な利用者宅への訪問などはありますが、基本的にはデスクワークが中心になります。

 

夜勤や、長時間立ちっぱなしになることの多い病棟看護師の仕事と比べると、ケアマネジャーの業務は体力的負担が少ないのがメリットです。

 

 

看護師として働く場合

ケアマネジャーの資格取得後も、そのまま看護師を続けたり、看護師とケアマネジャーを兼務したりする際のメリットについて見ていきましょう。

 

看護師としてのスキルアップにつながる

ケアマネジャーは実務研修など資格取得の過程で、利用者さんが希望する在宅での生活を継続するための生活設計の仕方多職種との連携方法を学べます。

 

これらは、退院支援や訪問看護の実践にも必要な知識・スキルです。

 

退院支援看護師や訪問看護師を目指している人にとっては、ケアマネジャーの資格取得を通じて学んだことがスキルアップにつながるでしょう。

 

看護師のキャリアの幅が広がる

ケアマネジャーの資格を持っていると、看護師のキャリアの幅が広がります。

 

例えば、病院の場合、地域連携室などで働く退院支援看護師がキャリアの選択肢の1つになります。

 

また、居宅介護支援事業所を併設する訪問看護ステーションでは、看護業務とケアマネジャー業務を兼務できるため、ダブルライセンスの人材は重宝されるでしょう。

 

このほか、地域包括支援センターも相談業務や要支援者向けの予防プラン作成のために看護師やケアマネジャーが必要とされており、両方の資格を持つ人は貴重な人材と言えます。

 

 

看護師とケアマネジャー、「どっちが上」とかある?

ここからは、看護師とケアマネジャー、2つの資格の関係について解説します。

 

 

どちらも患者さんを支える要の職種

看護師もケアマネジャーも、どっちが上といった上下関係はありません

 

看護師は医療・看護の視点から、ケアマネジャーは生活設計の視点から、患者さんの地域生活を支える役割を担っています。

 

医療の専門家である看護師と、生活設計の専門家であるケアマネジャー、役割が異なるだけで、どちらも患者さんにとってなくてはならない職種と言えるでしょう。

 

 

看護師とケアマネジャーの給料の違い

看護師とケアマネジャーの平均年収の比較。令和4年度の政府調査では、看護師の平均年収は508.1万円で、ケアマネジャーの平均年収は405.8万円。

 

平均年収では、看護師の方がケアマネジャーを100万円ほど上回っています

 

夜勤があり、医療処置のできる看護師のほうがケアマネジャーよりも給料水準は高めのようです。

 

 

ケアマネジャーの仕事内容    

ケアマネジャーのことは何となく知っていても、具体的な仕事のイメージがわかない人もいるのではないでしょうか。

 

ここではケアマネジャーの主な仕事内容について、詳しく見ていきます。

 

 

利用者さんのケアプラン作成

ケアマネジャーのメインの業務はケアプラン作成です。

 

ケアマネジャーは、利用者さんの希望する生活が実現できるように、訪問看護を含めてどのような介護サービスを何の目的で、どのくらい提供するのかなどをケアプランに記載します

 

ケアプラン作成に当たっては、利用者さんの健康状態や疾患、障害などの医療情報に加え、介護環境、本人の希望などをアセスメントする必要があります。

 

ケアマネジャーと利用者が面談をしている場面のイラスト

 

利用者さんやご家族からの相談対応

ケアマネジャーはケアプランを作成した後も、利用者さんやそのご家族からの介護に関する相談に対応します。

 

介護サービスに対する要望や不満、疑問などの総合窓口として位置づけられているのです。

 

そのため、ケアマネジャーには、利用者さんやご家族の不安に寄り添いながら適切な助言ができるコミュニケーションスキルが必要です。

 

 

介護保険の給付管理業務

事業者が介護給付費を受け取るための給付管理業務を行うこともケアマネジャーの業務の1つです。

 

具体的には、介護給付費を算定し、国民健康保険団体連合会(国保連)に請求します

 

算定などは、専用のソフトウェアなどで行えるため難しくありませんが、算定業務がたてこむ月末月初は忙しくなることが多いです。

 

 

介護サービス事業所との連携

ケアマネジャーは、質の良い介護サービスを提供できるように介護サービス事業所と連携するのも重要な業務です。

 

具体的には、まず、サービス担当者会議を主催します。これは、ケアマネジャーが立案したケアプランの内容を利用者さんと事業所の担当者に説明し、意見を聞き、同意を取る会議です。

 

ケアマネジャーは会議の司会を務めるだけでなく、参加者への連絡や日程調整を行います。

 

また、介護サービスの提供が始まった後も、利用者さんが事業所に要望を直接伝えづらいときなどに、間に入っての調整も行います。

 

 

まとめ

ケアマネジャーの仕事では、利用者さんの疾患が悪化しないようにケアプランを組み立て、再入院しないようにコントロールするなど、看護師の資格があるからこそ、その強みを発揮できる場面も多いでしょう。

 

もともと患者さんとの関わりを深く持ちたいと考えていたり、退院後の患者さんの生活設計に興味のある看護師さんは、ケアマネジャーの資格取得を考えてみてもよいかもしれません。

 

 

執筆:看護roo!編集部 鈴木涼太

 

 

 

 

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