心電図検定とは?4級・3級を看護師は受ける?検定の詳細やメリットを解説

心電図検定(看護師が取りたい資格図鑑)のページのMV

 

心電図検定は、心電図の苦手克服や、判読のスキルアップにつながるため、看護師に人気の検定です。

 

この記事では、心電図検定の詳しい内容、1~4級それぞれのレベル感、受検するメリット、勉強法などを解説します。

 

 

心電図検定とは

心電図検定とは、心電図の判読スキルを測定する検定で、日本不整脈心電学会が主催しています。

 

試験は年1回実施されます。心電図に携わる医療関係者に人気の検定で、2023年度は約1万7000人が受検しました

 

12誘導心電図を受けている患者と検査技師(看護師)のイラスト

 

心電図検定はどんな人が受けているの? 

心電図検定の受検資格に制限はありません。主に医師、看護師、臨床検査技師など、さまざまな医療関係者が受検しています。

 

日本不整脈心電学会によると、看護師の受検状況は2023年度で全体の35%程度。

 

心電図を読むのが難しい」「心電図にもっと詳しくなりたい」など、心電図判読のスキルアップを目指して、約6000人の看護師が心電図検定にチャレンジしたようです。

 

 

心電図検定は1~4級まである

心電図検定は1級~4級まで分けられています。全ての級でマークシート方式の問題が50問出題されます。

 

試験時間は、1~3級が90分、4級が70分となっています。各級のレベルについては以下の表の通りです。

 

心電図検定のレベル

レベル
1級 【高度な判読力がある】
・12誘導心電図の基本的な所見
・患者さんの状態、疾患、病態から起こる変化 など
2級 【中等度~高度な判読力がある】
・12誘導心電図の基本的な所見
・不整脈、虚血性変化
・疾患による心電図所見
・ペースメーカの心電図 など
3級 【基礎〜中等度の判読力がある】
・12誘導心電図の基本的な所見
・危険な不整脈
・臨床現場でよく出会う不整脈の心電図 など
4級 【基礎的な判読力がある】
・ホルター心電図や12誘導心電図、モニター心電図の基本的な所見 など
※モニター心電図は他級よりも多く出題。

参考:日本不整脈心電学会『各級の説明

 

1級は循環器専門医など、心電図のエキスパートレベルが想定されています。

 

2級は一般の循環器医やベテランの臨床検査技師などのレベルが想定されています。

 

3級は一般の臨床医レベルが想定されていますが、循環器のベテラン看護師などの受検も多いようです。

 

4級は若手ナースなど、心電図の判読を始めたばかりの人のレベルが想定されていて、心電図検定の入門的位置づけです。

 

日本不整脈心電学会によると、看護師の受検は3級と4級が多くなっています

 

ただ、各級のレベル感はあくまでも目安です。1級や2級に合格している看護師も多くいます。自分のレベルに合わせて受検級を選びましょう。

 

 

心電図検定の合格率は?

心電図検定の各級の合格率を見てみましょう。

 

心電図検定の合格率(2023年度)

受検者数 合格者数 合格率
1級 2704人 1375人 50.9%
2級 5472人 3591人 65.6%
3級 5898人 4410人 74.8%
4級 2728人 2335人 85.6%

出典:日本不整脈心電学会『合格発表

 

看護師がよく受検する3級と4級の合格率はそれぞれ約75%、約86%となっており、3級・4級に関しては難易度は低めの水準といえそうです。

 

 

心電図検定を看護師が受けるメリット

心電図検定を看護師が受けるメリットは次の3つです。

心電図検定を看護師が受けるメリットを表した図版。1.心電図判読のスキルアップにつながる、2.普段の業務に自信を持てる、3.キャリアアップにつながる

 

1心電図判読のスキルアップにつながる

心電図検定の受検勉強を通して、心電図の判読スキルをぐっとアップさせることができます。

 

検定の公式問題集などを使うことで、たくさんの心電図の判読問題に取り組めるので、「心電図の勉強のポイントがわからない」という人も効率的に知識を身につけられるでしょう。

 

また、「検定に合格する!」という目標があることで、勉強のモチベーションアップにもつながります。


 

2普段の業務に自信を持てる

心電図検定に合格すれば、自分の判読スキルが「公的な検定で認められた」ことを実感でき、普段の心電図の判読に自信を持てるようになります。

 

心電図は判読の難しい波形が多く、教科書通りにいかないことがほとんどです。そのため、仮に判読ができていても「本当にこれでいいのかな」と不安に思う看護師も多いはず。

 

自分の心電図の判読スキルが一定のレベルであることを確認できるのは心電図検定を受検する大きなメリットになります。
 

 

3キャリアアップにつながる

心電図検定の合格が、直接的に資格手当や昇級などにつながる病院は少ないかもしれません。

 

しかし、特に循環器領域でキャリアアップしていきたい看護師にとっては、心電図検定の受検は最適です。4級、3級、2級…とレベルを上げて挑戦するのもよいでしょう。

 

また、心電図検定は履歴書にも書くことができるので、転職などのときに循環器領域に意欲があると評価もされやすくなります

 

 

心電図検定の受検の流れ

次に、心電図検定の流れや試験日などについて見ていきましょう。

 

 

心電図検定の申し込みから合格発表まで

心電図検定の申し込みから合格発表までの流れは以下のようになっています。

心電図検定の申し込みから合格発表までの流れの図版。マイページを登録し、マイページから受験申込をする。その後、試験日を迎え、合格発表へと移る。合格発表は日本不整脈心電学会のWebサイトから確認する

 

まずは、毎年9月ごろ、日本不整脈心電学会のホームページから「マイページ」の登録を行います。

 

登録したマイページから、希望する試験会場・級を選んで受検を申し込みます。

 

申し込み期間は例年9月中旬からですが、希望する会場・級によって異なるのでよく確認しましょう。

 

 

 

心電図検定の試験日と試験会場

心電図検定の試験日は毎年12月中旬の土日です。

 

受検する級によって日時が異なるので要注意です。必ず自分の受検する級の日時をしっかり確認しましょう。

 

心電図検定の試験は例年、東京などの主要都市で実施されます。

 

2023年度試験の受検地

仙台、大宮、東京、名古屋、京都、神戸(3級・2級のみ)、福岡

 

詳しい試験会場については、日本不整脈心電学会のホームページから確認しましょう。

 

 

 

心電図検定の費用

心電図検定の検定料は級によって異なり、5,000円~10,000円です。それに加えて、所定のシステム利用料(250円~330円)がかかります。

 

心電図検定の検定料

受検級 検定料(税込)
1級 10,000円
2級 8,000円
3級 6,000円
4級 5,000円

出典:日本不整脈心電学会「実施要項・お申込み

 

 

心電図検定の勉強方法は?

ここからは心電図検定の勉強方法について紹介していきます。

 

まず、心電図検定は過去問が公開されていません。その代わり、検定を主催する日本不整脈心電学会から公式の問題集が出版されています。

 

 

公式問題集には2級・3級に相当する問題が111問掲載されています。心電図検定を受検する多くの看護師がこの公式問題集を活用しています

 

以下では、看護師の受検者数が多い4級、3級それぞれの勉強法を紹介します。

 

 

「心電図を基礎から学びたい」4級の勉強方法

心電図判読の経験が浅い若手のナースや看護学生など、「心電図を基礎から学びたい」という人は4級の受検がおすすめです。

 

まずは心電図の入門的な書籍や動画で基本のポイントを押さえてから、公式問題集にチャレンジするとよいでしょう

 

公式問題集は2級・3級の受検者向けですが、4級の受検者にとっても出題傾向の把握や判読のトレーニングに活用できます。

 

日本不整脈心電学会が初級者向けに「心電図フロンティアセミナー」を開催しており、それを活用する方法もあります。受講期間が限られているので、詳しくは学会のホームページを確認しましょう。

 

 

 

「心電図のレベルアップを目指したい」3級の勉強方法

業務で心電図判読をよく行う人や、すでに心電図検定4級に合格している人など「心電図のレベルアップを目指したい」という看護師は、3級の受検がおすすめです。

 

勉強方法は、まずは自分の苦手を見つけるために、公式問題集を解いてみるのがおすすめです。間違えたところ・苦手なところなどを中心に、書籍や動画で理解を深めると効率的です。

 

また、日本不整脈心電学会の「心電図フロンティアセミナー」は初級者向けだけでなく、中級者向けやデバイス、小児といったさまざまなコースがあるため、自身の苦手な分野に合わせて受講してみるのもよいでしょう。

 

 

 

まとめ

心電図は、普段の臨床でもよく使われる一方、苦手と感じる看護師さんは多いですよね。

 

心電図検定に向けて勉強する中で、多くの心電図を判読するトレーニングが自然とできるので、「自信を持って心電図が読めるようになりたい!」という看護師さんにおすすめの検定です。

 

4つの級があるので、自分のレベルに合わせてステップアップできるのもポイント。心電図の判読スキルを高めたい看護師さんは受検を検討してみるのもいいですね。

 

執筆:看護roo!編集部 鈴木涼太

 

 

 

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