新型コロナの「全数把握」が見直された、ってどういうこと?|看護roo!ニュース

新型コロナウイルスの全数把握、何がどう見直されるの?

 

感染症法に基づき、診断した医師がすべての感染者の保健所への届け出をただちに行う「全数把握」

 

新型コロナウイルス感染症もその対象疾患ですが、医療機関や保健所の負担を減らすため、方法が一部見直されることになりました。

 

何が、どう変わるのか、知っておきたいポイントをまとめました。

 

 

自治体の判断で、詳細報告は「重症化リスクが高い感染者」のみに

今回の見直しのポイントは、次のとおりです。

 

新型コロナ 全数把握の届け出、見直しにより自治体の判断で可能になった方法

直ちに実施する発熱外来や保健所における更なる負担軽減策(令和4年8月24日)(厚生労働省)を基に看護roo!編集部で作成

 

全数把握の届け出は、「氏名」や「生年月日」をはじめ、「診断日」や「発症日」、「ワクチン接種歴」など、すべての感染者の詳細な情報を報告する必要があります

 

この報告は、国のシステム「HER-SYS(ハーシス)」を使って行われていますが、その入力や確認作業に時間がかかり、医療機関や保健所の負担が問題となっていました。

 

今回の見直しでは、自治体の判断で、詳細な報告をする対象を高齢者など重症化リスクが高い感染者に限定できるようになります

 

ただし、年代別の人数は、重症化リスクが低い感染者も含め、毎日、全数を報告する必要があるとしました

 

 

重症化リスクが高い感染者とは?

引き続き、詳細な報告をする必要があるとされる重症化リスクが高い感染者は、次のとおりです。

 

引き続き詳細な報告が必要な重症化リスクが高い感染者:65歳以上、入院を要する人、重症化リスクがあり治療薬投与などが必要な人、妊婦

直ちに実施する発熱外来や保健所における更なる負担軽減策(令和4年8月24日)(厚生労働省)を基に看護roo!編集部で作成
 

 

批判が相次ぎ、急ぎ全国一律での見直しも

今回の全数把握の見直しに対し、医療機関や保健所の負担軽減を期待する声がある一方、さまざまな課題を指摘する声もあります。

 

「自治体によって対応にバラツキが出てしまう」

「『ハーシス』が改修されるまで、年代別人数は別の方法で報告が必要で、ややこしい…」

「そもそも感染者数が減らなければ、負担は大きく減らない」

 

また、「重症化リスクが低い感染者が、保健所の経過観察の対象から外れるため、急変に気づきにくくなるのではないか」との不安の声も聞かれます。

 

厚生労働省は、重症化リスクが低い感染者に対しても、届け出の有無に関わらず外出自粛を求め、何かあった場合の連絡や相談をする「健康フォローアップセンター」などを全都道府県に設置するよう促すとしています。

 

容態が悪化した場合の入院措置や勧告、移送なども従来どおり行うとしています。

 

 

今回の見直しは、2022年8月末にスタート予定。

 

あくまで「緊急避難措置」とし、自治体の判断にゆだねられますが、「自治体任せ」との批判が相次いだことを受け、全国一律での見直しの検討も急ぎ進められています。特定の医療機関のみ届け出を行う「定点把握」への移行も視野に入っており、今後の動きが注目されます。

 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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