岸田首相が宣言、「看護師の給料を上げる!」ってどうなる?|看護roo!ニュース

看護、介護、保育などの現場で働く人の給料を上げる――

 

2021年10月に内閣総理大臣に就任した岸田文雄首相は、こう表明し、看護師などの給料アップを経済政策の柱に位置づけました。

 

看護師なら注目せずにはいられない、この政策。これからどうなるのでしょうか?

 

 

 

岸田首相はどうして「看護師の給料を上げる」?

岸田首相の経済政策は「成長と分配」がコンセプトになっています。経済成長で生まれた所得を格差のないように分配することで、また次の成長につなげていく――というものです。

 

この分配を実現する方法として特に強調されているのが、看護師などの給料の引き上げ

 

岸田首相は、総裁選や首相就任後の記者会見などで次のように述べています。

 

 

そこで、診療報酬や介護報酬などの「公的価格」を見直すことで、看護師など関連職種の給料を引き上げよう、それをきっかけに民間企業でも給料アップの動きを起こそう!と狙っています。

 

つまり、看護師の給料アップは、国民全体の給料アップ戦略の第一歩というわけです。

 

 

気になるのは「いくら?」「財源は?」

そうなると、やはり気になるのは次の2点。

 

「いくら増えるのか」「給料アップの財源はどこから持ってくるのか」でしょう。

 

いつまでに、どのくらいの給料アップを目指すのかについて、岸田首相はまだ具体的な発言をしていません。

 

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、2020年の看護師(平均年齢41.2歳)の月収は平均で33万8400円、ボーナスは年間85万7500円。単純計算すると、看護師の平均年収は491万8300円となります=関連記事:看護師の平均年収

 

 

もし仮に、全国の就業看護師127万人の年収がそれぞれ1割アップするとしたら、6200億円ほどの財源が必要です。准看護師、保健師、助産師も含めた看護職全体(168万人)では約8000億円。さらに、介護士や保育士の分の財源も必要になります。

 

これはあくまで「一律に1割アップするなら」の仮定の話ですが、給料アップの実現にはそれなりの額を継続して確保しなければならず、ハードルは決して低くはなさそうです。

 

岸田首相は「消費税を引き上げて財源にすることは想定していない」としていますが、「では、どこから財源をひねり出すのか」はまだ不明。もしも企業の法人税や国民の保険料でまかなう場合は、負担増への反発・不満を調整できるかがカギとなるでしょう。

 

 

まずは「公的価格評価検討委員会」の議論に注目

看護師などの給料アップについて具体的な見通しが出てくるのは当分、先になりそうですが、検討はすでに動き始めています。

 

まずは公的価格のあり方を抜本的に見直すとして、「公的価格評価検討委員会」が設置されることになりました。

 

そこでは、看護師の仕事と対価について、診療報酬で適切に評価されているのかなどが再評価される見込みです。2022年春には、次の診療報酬改定が控えています。検討委員会の議論がどう影響してくるかに注目です。

 

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

(参考)

第二百五回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸)

令和3年10月4日岸田内閣総理大臣記者会見(首相官邸)

自民党新総裁の岸田文雄氏が記者会見(全文2)(THE PAGE)

令和2年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

看護統計資料 Ⅰ.就業状況 1.就業者数(日本看護協会)

 

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