意外と多い…?医療機関の電波トラブル|看護roo!ニュース

医療機関のさまざまな電波トラブル

 

総務省や厚生労働省などが参加する「電波環境協議会」が、医療機関で安全・安心に電波を利用するための手引きを改定しました。

 

医療機関で電波を使う機器が増え、さまざまな電波トラブルが起こり得るため、注意するよう呼びかけています。

 

 

6割の医療機関「携帯電話のトラブル経験あり」

協議会が行った2019年度のアンケート調査によると、携帯電話やスマートフォンの利用に関するトラブルを経験した医療機関は約6割に上っています。

 

また、無線LANのトラブルを約5割心電図モニタなどの医用テレメータのトラブルを約4割の医療機関が経験していました。

 

医療機関のさまざまな電波トラブル(電波環境協議会2019年度アンケート調査より)

 

1 携帯電話・スマートフォン

携帯電話やスマートフォンのトラブルで最も多かったのは「電波の受信状況」(49.1%)で、次いで使用ルールを守らないなどの「マナー」(30.2%)に関するものでした。

 

また、3.1%と少ないものの「医療機器への影響」もみられました

 

協議会は2014年に、技術の進歩により携帯電話の電波出力が低下したことから、「医療機器から1メートルくらい離す」などを条件に医療機関内での携帯電話の利用をOKとする指針を発表しています。

 

ただし、最新の携帯電話であっても、

 

  • 医療機器の上に置いたり密着させたりした場合には医療機器に影響がある恐れがあること
  • 手術室など電波が届きにくい場所では送信電力が高くなること

 

などには注意が必要としています。

 

 

2 無線LAN

無線LANのトラブルは「つながらない・つながりにくい」(71.3%)が最も多く、「特定の場所で電波が十分に届かない」(56.2%)が続きました。

 

無線LANは医療機器などの業務上の使用だけでなく、医療機関で過ごす患者などの利用も増えています。協議会は、業務用と患者などの来訪者用の無線LANのネットワークの分離や、患者が持ち込んだBluetooth機器や携帯ゲーム機などの電波干渉にも注意を払う必要があるとしました。

 

 

3 医用テレメータ

医用テレメータのトラブルは「特定の場所で電波が十分に届かない」(76.8%)が最多。

 

また、混信の原因となる「チャネル設定を間違える」(30.7%)「電池切れに気が付かない」(28.8%)などもみられました。

 

心電図などの医用テレメータにトラブルが発生すると、患者の異常の発見が遅れることにつながりかねません。協議会は、電波を正しく受信できているかの確認や電池の定期的な交換などを行うよう求めています。

 

 

コロナで「オンライン診療」や「オンライン面会」が増加

新型コロナの流行が続く中、対面で接触する機会を減らすため、電波を使う機器を新たに導入するケースが増えています。

 

協議会の2020年度のアンケート調査によると、「オンライン診療」「オンライン面会」を導入する医療機関が増え、特に「オンライン面会」は予定も含めると6割近くの医療機関で端末の導入を進めていました。

 

医療機関の電波利用機器の導入(電波環境協議会2020年度アンケート調査より)

 

 

電波を用いるさまざまな機器が増え、利便性が向上する一方で、電波トラブルの防止や対策の重要性が高まっています。

 

日常的に医療機器を扱うナースも、起こりやすいトラブルは知っておいたほうがよいでしょう。

 

※記事内のアンケート調査の数字は、小数点以下第2位は四捨五入のため、構成比合計が100%にならない場合があります。

 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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