リーダー業務は「3つの役割」を押さえよう!|はじめてでもわかる!看護師リーダー業務(1)
看護師として、ひととおりの病棟業務ができるようになると任される「リーダー業務」。
はじめてのリーダー業務が心配な人や、何度かやってみたけどうまくできずに悩んでいる人もいるかもしれません。
この連載では、不安でいっぱいのリーダー業務が「なんだかできそう!」に変わるポイントをお伝えします!
第1回は、リーダーをするときに押さえておきたい「3つの役割」について解説します。
リーダーの「3つの役割」とは?
リーダーって、いろいろしなくちゃいけなくて大変そう……と構えがちですが、実はリーダー業務は、大きく「3つの役割」に整理できちゃいます!
3つの役割とは「仕切り役」「橋渡し役」「サポート役」です。
この3つのうち「わたしは今、どの役割を求められているのかな」と意識してみることが、リーダー業務がうまくいくための第一歩。
その場に必要な役割がハッキリすることで、リーダーとしてどう動けばいいか、迷いにくくなります。
では、「3つの役割」について、詳しく見ていきましょう!
【1】業務を振り分ける「仕切り役」
「仕切り役」とは「誰に何を担当してもらうか」を振り分ける役割のこと。
リーダーは病棟業務の仕切り役として、受け持ち患者さんの割り振りや、緊急入院などの割り込みタスクが発生したときの対応を決めます。
「業務を振り分けるなんてできるのかな…?」と不安になるかもしれませんが、まずは次の3つに注目してみましょう。
- 状態悪化や急変に注意が必要な患者さん
- ケアの必要量が多い患者さん
- メンバーのスキル・業務量
状態が悪化しやすい患者さん、全介助や手厚い見守りが必要な患者さんを中心に、「この患者さんのケアを担当できるスキル・経験のあるメンバーは?」「一部のメンバーに業務量が集中してない?」など、バランスを考えていきます。
特にポイントになるのは、緊急入院などの割り込みタスクへの対応です。
さまざまな要因によって、メンバーの状況は常に変化しています。こまめに確認しておき、割り込みタスクに備えることが大切。
「何か困ってませんか?」「進んでいない業務はありませんか?」など、一人一人のメンバーと積極的にコミュニケーションをとることで、今、抱えている業務量はどのくらいか、病棟全体の業務がうまく回っているかがつかめます。
「もし急変が起きたら、△△さんにフォローを頼めそうだな」
「◯◯さんは今、業務が立て込んでいそう。もしいま緊急入院がきて◯◯さんにお願いするなら、他の人に◯◯さんの業務を割り振らなきゃいけないな」
など、どう業務を調整したらいいかが考えやすくなるでしょう。
受け持ち患者さんの割り振りも、リーダーの大切な仕事です。
ゼロから考えなくちゃいけない…?と不安になるかもしれませんが、心配しなくても大丈夫!
前日までの受け持ち表で「誰がどの患者さんを担当していたか」などを参考にしたり、悩んだときはリーダー経験のある先輩や上司に相談したりして決めていきましょう。
「仕切り役」としての具体的な業務のコツは
第2回をチェック!
…など
【2】他病棟・他職種との「橋渡し役」
「橋渡し役」とは、自分の病棟と他病棟・他職種の間をつなぐ役割のこと。
リーダーはその日の病棟を代表し、橋渡し役として転棟や手術・検査などのスケジュール調整をしたり、医師への報連相や指示受けなどのやり取りをしたりします。
「橋渡し役」をする際、それぞれの都合や考えが合わず、交渉が必要になるときもあります。
そんなときは、
「△時に移動予定の患者さんが、急ぎの処置をすることになりました。終了後の◯時ごろの移動だと、いかがでしょうか?」
「患者さんが〇〇な状態なので、念のため△△の指示も出していただけますか?」
など、理由を説明した上で、一緒に落とし所をすり合わせる気持ちで相談しましょう。
それでも、なかなか折り合いがつかないときは、リーダー経験のある先輩や管理者に、一度相談してから調整をするのもOKです。
「橋渡し役」としてスムーズな調整をするには、病棟全体の状況に目を向けることも大切。
業務上の都合だけではなく、
「無理なスケジュールで患者さんに負担をかけないか」
「スタッフが不在の時間帯と重なって、他の患者さんの対応に支障が出ないか」
など、患者さんを中心に考えて調整をしましょう。
「橋渡し役」としての具体的な業務のコツは
第2回をチェック!
…など
【3】メンバーが困ったときの「サポート役」
「サポート役」とは、メンバーが困っているときに手助けをする役割のこと。
リーダーは、メンバーが安心して仕事ができるように、業務の進め方について相談に乗ったり、アドバイスしたりします。
業務が予定通りに進んでいないメンバーがいたら、進捗状況を一緒に確認し、「優先度・行動計画などを見直すことで立て直せるのか」「他のメンバーに分担すべき業務があるのか」などを相談しましょう。
新人や若手看護師の場合、自分からSOSが出せないこともあります。
患者さんのモニターアラームが鳴り続けるときや、同じ患者さんから何度もナースコールがあるときは、メンバーが困っているサインかもしれません。
「困りごとがないか」「進んでない業務がないか」など、リーダーからこまめに声をかけるようにしましょう。
また、業務の進捗についてのサポートだけでなく、インシデントやクレームが発生した場合のサポートも大切な役割です。
メンバーの動揺が大きいときは、「気持ちを切り替えるために、少しだけ休憩しよう」「この後の業務は、落ち着いて一緒に確認しながらやっていこう」などとフォローしましょう。
リーダーは“ピリピリオーラ”を出さないように注意!
リーダーは忙しくて余裕がなくなることもありますが、ピリピリしている人には、どうしても話しかけにくくなるものです。
いつでも報連相がしやすいリーダーだと、メンバーからのコミュニケーションも増えて、業務も進みやすくなっていきます。
「サポート役」としての具体的な業務のコツは
第2回をチェック!
…など
まとめ
リーダーは考えることもやることも多くて、はじめのうちは「大変すぎて無理~!」と思ってしまうかもしれませんが、「3つの役割」を意識してみることで、少しずつ迷わずに行動できるようになっていくはずです。
ときには周囲に助けてもらいながら、「患者さんへ安全に看護ケアを提供し、時間通りに終業できる」という1日を目指していきましょう。
リーダー業務では、 1つの場面で「仕切り役」と「サポート役」をするなど、同時に2つ以上の役割が求められる…ということも。
第2回では、新米リーダーが「こんなとき、どうすればいいの!?」と困りがちな場面を取り上げ、具体的な動き方・声のかけ方などのコツをお伝えします!
獨協医科大学埼玉医療センター 看護副部長石井 恵利佳
救急看護認定看護師。
熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学前期博士課程修了。
獨協医科大学越谷病院(現埼玉医療センター)に入職し、日本看護協会看護研修学校(認定看護師教育課程専任教員)への出向を経て、2020年4月より現職。
看護roo!編集部 小園 知恵(看護師)
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