新型コロナとインフルの「同時流行」、どう備える?|看護roo!ニュース

この冬心配される、新型コロナとインフルの同時流行

 

インフルエンザが流行する季節が近づいてきました。

 

医療現場では、症状が似ている新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの「同時流行」に対する警戒感が高まっています。

 

 

同時流行なら、新型コロナとインフルの両方検査を

日本感染症学会は8月3日、同時流行に備えて提言をまとめした。

 

提言では、症状から新型コロナウイルス感染症とインフルエンザを見分けるのは難しいため、できるかぎり両方の検査を行うことを推奨するとしました

 

ただし、検査キットの供給には限りがあるため、流行状況によっては、先にインフルエンザの検査を行い、陽性であればインフルエンザの治療をして経過を見ることも考えられるなどとしました。

 

また、提言では、現時点でわかっている、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの違いがまとめて紹介されています。

 

新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの違い

  新型コロナウイルス感染症 インフルエンザ
症状の有無 発熱に加えて、味覚障害・嗅覚障害を伴うことがある ワクチン接種の有無などにより程度の差があるものの、しばし高熱を呈する
潜伏期間 1~14日(平均5.6日) 1~2日
無症状感染

数%~60%

無症状患者でもウイルス量は多く、感染力が強い

10%

無症状患者ではウイルス量は少ない

ウイルス排出期間 遺伝子は長期間検出するものの、感染力があるウイルス排出期間は10日以内 5~10日(多くは5~6日)
ウイルス排出ピーク 発病1日前 発病後2、3日後
重症度 重症になり得る 多くは軽症~中等症
致死率 3~4% 0.1%以下
ワクチン 開発中であるものの、現時点では有効なワクチンは存在しない 使用可能だが季節ごとに有効性は異なる
治療 軽症例については、確⽴された治療薬はなく、多くの薬剤が臨床治験中 オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラニナミビル、バロキサビル マルボキシル
ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の合併 しばしばみられる 少ない

 

一般社団法人日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて(日本感染症学会)を基に看護roo!編集部で作成

 

 

「検査体制」と「インフルエンザワクチン」がカギ

厚生労働省も、さまざまな検討を進めています。

 

8月26日に開いた専門家会議では、同時流行に備え、次のような方針が示されました。

 

同時流行への備え

次のインフルエンザ流行に備えた体制整備(厚生労働省)を基に看護roo!編集部で作成

 

 

院内感染を防ぐ外来・検査の体制を

1つは、発熱患者の診療や検査を行う体制の整備

 

発熱患者が相次ぐことで診療現場が混乱し、院内感染のリスクが高まることが予想されるからです。

 

具体的には、地域の実情を踏まえ、次のような対応が想定されるとしました。

 

想定される外来・検査の体制整備/医療機関の駐車場などに検査所の設置(ドライブスルー型またはテント型)、発熱者と発熱者以外で受診時間の分離、複数の医療機関による発熱者外来のローテーション

次のインフルエンザ流行に備えた体制整備(厚生労働省)を基に看護roo!編集部で作成

 

 

インフルエンザワクチンは重症化しやすい人から

もう1つは、インフルエンザワクチンの効率的な接種を促す取り組みです。

 

今シーズンのワクチンは約6300万人分の供給が見込まれています。

 

数に限りがあるため、重症化しやすい高齢者などから順に接種を呼びかける方針です。

 

10月前半からは定期接種の対象である65歳以上の高齢者、10月後半からは医療者や基礎疾患がある人などに対し、自治体等を通じ、接種を呼びかける予定です。

 

インフルエンザワクチン接種の優先的な呼びかけ対象

次のインフルエンザ流行に備えた体制整備(厚生労働省)を基に看護roo!編集部で作成

 

***

 

2019-2020年シーズンのインフルエンザの感染者は約700万人で、例年の約1000万人と比べると小規模の流行でした。

 

新型コロナの感染を防ぐ手指衛生などがインフルエンザにも有効だったからではないか、という見方もありますが、実際のところは不明。この冬の流行がどうなるかはわかりません。

 

2つの感染症の流行が重なってしまった場合を想定し、地域や医療機関での備えが急がれます。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

 

(参考)

一般社団法人日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて(日本感染症学会)

次のインフルエンザ流行に備えた体制整備(厚生労働省)

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