毎日ルーティンばかりで楽しくなくてモヤモヤ|看護師かげと白石の今週のモヤッと(36)
この連載では、総合病院で働く看護師のかげと中堅看護師の白石が、読者から寄せられた「看護の現場で感じるモヤモヤ」にお答えします。
みんなの「モヤッと」が「ピカッと」に変わりますように!
Vol.36 毎日ルーティンばかりで楽しくなくてモヤモヤ
今回は、看護師2年目の方からのお悩みです。
精神科病棟で働いています。
毎日がルーティンばかりで楽しくない!
(なな 看護師2年目)
毎日がルーティンかぁ…。
たしかに、私も毎日同じ業務だと感じると、ツラくなっちゃうな。
何だか物足りなさみたいなものを、ときどき感じちゃうんだよね…。
「毎日が同じ業務」と感じる理由は…?
今回は精神科のお仕事についてのお悩みということで、実際に現場で働いているスペシャルゲストをお呼びしました!
バンッ
こんにちは~!
精神科看護師10年目のおぬまです。
どうぞ、何でも聞いてください!
ありがとうございます!
おぬまさんはSNSで知り合った精神科看護師さんで、よく飲みに行く仲なんだけど。
私自身、患者さんとのコミュニケーションで悩んだときに、話を聞いてもらったりしているんだ!
今回のお悩みを読ませてもらいましたけど…、僕も気持ちはよくわかるんですよね。
急性期以外の精神科だと、バイタル測定して、入浴介助するだけの1日…なんてことも。
お~、そうなんですね。
身体的な治療に伴うケアや、処置なども少ないし、バイタルサインに異常があることも少なく、全体的に変化があまりないので…。
「毎日が同じ業務」と感じることはあるかもしれないな、と。
「あまり変化のない日常」をサポートする役割
ただ、急性期以外の精神科って、患者さんの生活の中に看護師がお邪魔して、ケアをする場所だと思うんですよね。
だから、患者さんの日々の生活に変化を求めてはいけない…変化がないのが一番いい状態なのではと、僕は考えています。
患者さんの日常に変化がないのが一番いい状態…。
具体的にどのようなことでしょうか?
たとえば、みなさんの毎日の生活って大きな変化がしょっちゅうあったりしますか?
毎日のように体調が変わったり、何かトラブルがあったり…そんなことないですよね。
精神科の患者さんも同じです。
あまり変化のない日常を過ごしながら、患者さんの治療を進めていく場所なのかな、と。
言われてみればそうですね!
この「変化のない日常」というのが精神科の患者さんには特に重要だと思います。
精神科の患者さんは日々の小さな変化に敏感で、ちょっとした変化で動揺してしまうことも多いんですよ。
患者さんの状態は安定していても、些細な変化に目を凝らしてみよう
「『変化のない日常』が精神科の患者さんには特に重要」という話をしました。
それと同時に、たとえ患者さんの状態が毎日安定していても、その日その日で微妙に違うという点も大事だと思うんですよね。
と、いうと?
たとえば、睡眠一つ取っても毎日同じなわけではないですよね。
ぐっすり眠れる日もあれば、眠りが浅かったりして熟睡できない日もあると思います。
だから、状態は安定していても、今日の患者さんの様子を見ていて「なんだか眠そう、昨日あまり眠れなかったのかな…」と、患者さんの些細な変化に気づくことがあります。
そうした細かな気づきが精神科看護では特に重要で、その気づきを基にケアの計画を立てたり、医師に報告・相談したりしていきます。
なるほど…!
「些細な変化をとらえてみよう」と意識してみると、「毎日同じでつまらない」という悩みが軽くなるかもです。
どんな看護に興味があるのか考えてみる
相談者さんはどんな看護に興味があるんですかね…。
精神科での日々の業務がルーティンに感じてつまらないなら、毎日違うイベントが起こるような職場が良いのかと思ってしまうし。
一般病棟と比べると、今の精神科のほうが患者さんと接する時間は多く取れそうですけど…。
そうですね。
精神科看護の魅力の一つは、処置などを通して患者さんと接するのではなく、病棟で暮らす一人の生活者を支えるように接することができることかな、と個人的には思います。
患者さん同士の感情がぶつかり合うこともあるけど、人間模様の渦中にいる楽しさもある。
そうした感情の発露や、日常の些細な変化の両方をアセスメントしながら働くのが、精神科の面白いところかなと感じますね。
おぉ、精神科ならではの魅力ですね…!
そうですね。
相談者さんがこうした精神科の面白さに興味があるのか、別の領域や診療科がいいのか…。
そのあたりも視野に入れて考えてもいいかもですね。
ただ個人的には、「もうちょっと精神科で頑張ってみよう!」と思ってもらえたら、うれしいです。
それでもしんどくなったときの工夫
「患者さんの日常に大きな変化がないのが一番いい状態」、そんな中でも「患者さんの些細な不調や変化に気づく大切さ」かぁ…。
私にはすごく新鮮だったなぁ。
でも、患者さんの些細な変化に毎日目をこらすのも、なんだかしんどくなっちゃうときってあるのかな、と…。
たしかに、ずっと意識してるのもしんどいことはありますよね。
そんなときは、自分で小さな目標を設定して、タイムアタック的に工夫するといいかも。
あくまで患者さんに関わらない業務で、記録や、物品の準備のときとかに。
わかる!
僕もいつもは30分かかっているものを、「もう少しここ工夫したら20分でいけそうだな…」ってチャレンジすることあるよ!
それも楽しそうですね!
そうそう!
気が乗ってないときでも、モチベーションをアップできるし。
成功すれば達成感にもつながるし。
ただやりすぎると、早くやることだけに意識が向いちゃうので、ほどほどがいいのかな(笑)。
うん。
些細な変化をとらえようとしてみたり、しんどいときはタイムアタックしてみたり…。
それでも合わない…と思ったら、おぬまさんも言っていたように、異動や転職を考えたりするのも一つの方法だと私も思うな。
うん、ゆっくり考えてみてくださいね。
そうですね。
相談者さんが、楽しく働けることを願っています!
今週のピカッと★★
☆精神科では、患者さんの日常に変化がないようにサポートする役割もある
☆些細な変化に目を凝らしてみると、ルーティンだと感じなくなることもある
☆自分がどのような看護に興味があるのかを考えてみる
☆しんどく感じたときは、患者さんには関わらない業務で、タイムアタックなどの工夫も取り入れてモチベーションを維持してみる
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イラスト/かげ
編集/木村さちこ(看護roo!編集部)
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