仕事上のストレスによるうつなどの精神障害って、どのくらい労災認定されるの?|看護roo!ニュース

2018年度 精神障害の労災補償状況/請求件数:1820件、決定件数:1461件、うち支給決定件数:465件、認定率:31.8%/(請求件数業種別割合)医療・福祉:17.6%、製造業:16.6%、卸売業・小売業:14.1%、運輸業・郵便業:9.9%、建設業:7.1%、その他:34.7%/(請求の多い職種)1位:一般事務職、2位:営業職、3位:自動車運転従事者、4位:商品販売職、5位:保健師、助産師、看護師、6位:介護サービス職

厚生労働省「平成30年度 過労死等の労災補償状況」を基に看護roo!で作成

※決定件数は労災かどうかの決定を行った件数で、2018年度以前に請求があったものも含みます。支給決定件数は、決定件数のうち労災として認定され、給付金の支給が決定したものです。

 

 

厚生労働省によると、2018年度の仕事上のストレスによるうつなどの精神障害に対する労災補償の請求は1820件に上りました。

 

また、同年度に審査が決定した件数は1461件で、そのうち業務上によるものと認定され、給付金の支給が決まったのは465件でした。

 

つまり、労災として認められたのは3割ほどです。

 

請求件数は、業種別では「医療・福祉」(320件)が最も多く、職種別では「保健師、助産師、看護師」(88件)が5番目に多い職種でした。

 

看護職という仕事がストレスの多いことがうかがえます。

 

 

「医療・福祉」では、どのくらい労災認定されているの?

「医療・福祉」の業種に限ってみると、2018年度に精神障害の労災請求で審査が決定した件数は255件で、そのうち給付金の支給が決定したのは70件でした。

 

認定された割合は27.5%で、全体(31.8%)と比べるとやや低い割合です。

 

医療・福祉 精神障害の労災認定状況/(2009年度)支給決定件数:21、不支給決定件数:77、認定率:21.4%/(2010年度)支給決定件数:41、不支給決定件数:92、認定率:30.8%/(2011年度)支給決定件数:39、不支給決定件数:104、認定率:27.3%/(2012年度)支給決定件数:52、不支給決定件数:127、認定率:29.1%/(2013年度)支給決定件数:54、不支給決定件数:113、認定率:32.3%/(2014年度)支給決定件数:60、不支給決定件数:142、認定率:29.7%/(2015年度)支給決定件数:47、不支給決定件数:147、認定率:24.2%/(2016年度)支給決定件数:80、不支給決定件数:170、認定率:32.0%/(2017年度)支給決定件数:82、不支給決定件数:184、認定率:30.8%/(2018年度)支給決定件数:70、不支給決定件数:185、認定率:27.5%

厚生労働省「過労死等の労災補償状況」を基に看護roo!で作成

 

この10年の認定率の推移をみても、「全業種」よりも「医療・福祉」の方がやや低い傾向があります。

 

明確な理由はわかりませんが、精神障害の労災審査は、職場や家族などの関係者から行ったヒアリングで意見が食い違った場合の判断が難しいと言われています。

 

多様な人と密にかかわる医療や福祉に携わる仕事は関係者が多く、その判断がより難しいことが背景にあるのかもしれません。

 

精神障害の労災が認定された割合/(全業種)2009年度:27.5%、2010年度:29.0%、2011年度:30.3%、2012年度:39.0%、2013年度:36.5%、2014年度:38.0%、2015年度:36.1%、2016年度:36.8%、2017年度:32.8%、2018年度:31.8%/(医療・福祉)2009年度:21.4%、2010年度:30.8%、2011年度:27.3%、2012年度:29.1%、2013年度:32.3%、2014年度:29.7%、2015年度:24.2%、2016年度:32.0%、2017年度:30.8%、2018年度:27.5%

厚生労働省「過労死等の労災補償状況」を基に看護roo!で作成

 

 

労災認定されたのはどんなケース?

では、どのようなケースが労災として認定されているのでしょうか。

 

精神障害の労災認定では、発病にかかわったと考えられる事象を「出来事」として類型化し、心理的負荷の強さを評価するのに用いられています。

 

医療・福祉に限らずですが、多かったのは業務上の変化やパワハラ、事故や災害の体験やその目撃経験などでした。

 

労災認定されたケースで多い出来事/仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった/(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた/悲惨な事故や災害の体験、目撃をした

厚生労働省「平成30年度 過労死等の労災補償状況」を基に看護roo!で作成

 

 

「医療・福祉」の請求件数は10年で約2.5倍

この10年、精神障害の労災請求は増え続けています。

 

その中でも、「医療・福祉」の業種は目立って増えており、10年前と比べると請求件数は約2.5倍になりました。

 

2016年度に「製造業」を抜いて以来、3年連続で最多となっています。

 

精神障害の労災請求件数推移/(全職種)2009年度:1136件、2010年度:1181件、2011年度:1272件、2012年度:1257件、2013年度:1409件、2014年度:1456件、2015年度:1515件、2016年度:1586件、2017年度:1732件、2018年度:1820件/(医療・福祉)2009年度:127件、2010年度:170件、2011年度:173件、2012年度:201件、2013年度:219件、2014年度:236件、2015年度:254件、2016年度:302件、2017年度:313件、2018年度:320件

厚生労働省「過労死等の労災補償状況」を基に看護roo!で作成

 

以前から、看護師は業務内容が多岐にわたり、交代制勤務で不規則な生活になりがちなため、メンタルヘルスに支障をきたしやすいと言われていました。

 

労災を請求する人の数が増えていることからも、確実にメンタルヘルスの不調を抱える看護師が増えていることがわかります。

 

看護現場でのもっと実効力のあるメンタルヘルス対策が求められます。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

平成30年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成29年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成28年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成27年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成26年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成25年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成24年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成23年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成22年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

平成21年度 精神障害に関する事案の労災補償状況(厚生労働省)

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