音声入力で記録時間はどのくらい短縮できる?|AIで変わる医療現場の働き方

音声入力による記録時間の短縮/HITO病院では、リハビリテーション科全体でカルテ入力時間が約11時間削減、一人あたりで一日平均18分削減/キーボード入力15時間56分(39名)/音声入力4時間45分(41名)/AmiVoice ®iNOTEを利用した音声入力による効果測定結果

 

カルテの入力時間が、音声入力を活用することで従来のキーボード入力と比べて70%削減された-。

 

そんな医療者にとって興味深い発表がありました。

 

社会医療法人石川記念会HITO病院(愛媛県四国中央市)のAI音声認識サービスを活用したリハビリテーション科での取り組みです。

 

理事長の石川賀代さんによると、音声入力による記録時間の短縮により、リハビリに直接かかわる時間が増え、残業時間の短縮傾向が見られたといいます。

 

現在はセラピストにしか導入されていませんが、今後、看護師などの他職種にも活用が検討されています。


 

 

「いつでも」「どこでも」入力可能!

HITO病院が導入したのは、株式会社アドバンスト・メディアと共同開発した医療機関向けAI音声認識ワークシェアリングサービス「AmiVoice ®iNOTE」。1年ほどかけて開発し、2018年10月4日に販売が開始されました。

 

専用アプリ(現在はiOSのみ対応)をインストールしたスマートフォンに話しかけて音声入力すると、院内のサーバーを経由し、データが転送され、それぞれの診療科や管理部門などと連携される仕組みです。

 

スマホで撮影した画像も送信可能で、定型文を送れるスタンプ機能や重複入力を避けるテンプレート機能などがあり、情報の入力や共有をすばやく行えるようになっています。

 

AmiVoice ®iNOTEの運用イメージ/スマホで音声入力し、送信→代行入力補助者がチェック→カルテシステムへ転送→チェック済みコメントの背景色が変更

 

HITO病院ではこのサービスを

 

  • (1)担当者がスマホアプリで音声入力し、サーバーに送信する
  • (2)院内の代行入力補助者が誤字・脱字などをチェックし、データをカルテシステムの所定箇所へ転送する
  • (3)転送されると、スマホアプリの(1)で送信したコメントがチェック済みデータとして背景色が変更になる
  • (4)担当者が電子カルテで最終確認する

 

という流れで使用しています。

 

取り組み始めた2017年6月当初は、PCに接続するマイク型のタイプが使用されていたそうです。

 

しかし、PCの台数による制限など幾つか課題が見つかったため、ハード・ソフトともに改良を重ね、現在の「いつでも」「どこでも」入力可能なスマートフォンを使用したタイプになったといいます。

 

 

2019年3月までに、看護師全員にスマホ導入予定

HITO病院では、2019年3月までにスマートフォンを看護師を含めたすべての職員に導入する予定といいます。

 

理事長の石川さんは、「恐らく看護師でも使えるところはあると思いますが、セラピストと同じような展開をするのは難しいのではないかと考えています」とし、看護師の場合、記録が多岐にわたるため、どのような業務に導入するのが一番効率が良く、スタッフの負担感が少なく、継続的に使用可能かを検討しているところだと、今後の計画について話しました。

 

社会医療法人石川記念会理事長の石川賀代さん

「このサービスは記録業務の多い病院の働き方に十分寄与する可能性があると考えています」と石川理事長(10月4日、都内)

 

***

 

看護記録は看護師の業務で大きなウェイトを占めています。

 

記録にかかる時間を短縮できれば、ベッドサイドに足を運ぶ時間を増やしたり、記録のために余儀なくされていた残業を減らしたりすることができるのではないでしょうか。

 

あくまで一つの病院の取り組みですが、こうした取り組みが広がっていくことで、看護師の負担が軽減されることが期待されます。
 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

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(参考)

医療向け AI音声認識ワークシェアリングサービス(株式会社アドバンスト・メディア)

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