看護師の“指名料”はどうなる?2018年からの「混合介護」について知っておきたいこと

2018年度のモデル事業開始に向けて「混合介護」のルール緩和に注目が高まっています。

混合介護とは「介護保険によるサービス」と「保険外のサービス」を組み合わせたサービスのこと。

 

これまで「保険外のサービス」に含まれていた“指名料”のルールを緩和しようという議論があり、指名の対象には看護師も含まれる可能性があるのです。

 

 

そもそもなぜ「混合介護」が議論されている?

「混合介護」のルール緩和は、介護の質の向上と労働環境の改善を目指して検討されています。

背景にあるのは、介護職員の不足や低賃金の問題です。

 

■利用者にとってのメリット

これまでのルールでは、訪問介護の際の調理や洗濯等について、介護保険の対象となるのは利用者分のみに限られていました。


今回、混合介護のルールが緩和されれば、利用者家族分も一度に調理・洗濯することができます。

合理的に利用者家族の負担が減少するメリットが期待できるのです。

 

〈文献4)を参考に編集部作成〉

 

 

施行に向けた課題

導入されれば良いことが増えるように思いますが、現場の実情として「介護保険サービス」と「保険外サービス」には明確な区分がありません。

「保険外サービス」として課金すべき内容が明確にできないのです。

 

「明確な区分」が不明瞭なことによる不都合

・家族分の食事は、要介護者分の調理が終わった後に、保険外として調理

・ペットの世話や花の水やりは、ヘルパーがエプロンを取り換える等の対応あり

デイサービスの送迎は、利用者が自宅途中のスーパーでの降車を希望しても、降ろせない

〈文献3)から引用〉

 

施行に向けて、これらの不都合をどう乗り越えていくのか、議論がなされています。

 

 

「指名料」ルール緩和のメリット

利用者が、希望の職員を指名できる「指名料」のルール緩和について、利用者・事業所双方のメリットを見ていきましょう。

 

■利用者にとってのメリット

指名がこれまでより安価になり、「指名しやすくなること」が最大のメリットです。

 

これまでは、職員を指名するためには保険内のサービスを全額自己負担に切り替える必要がありました。

混合介護のルールが緩和されれば、介護保険の給付範囲のままで指名料だけ上乗せすることができます。

※指名料を1時間あたり500円と仮定した場合

〈文献4)を参考に編集部作成〉

 

 

■事業所側のメリット

指名料については、現在明確な金額や利用方法などが提示されていませんが、過去に提示されていた1時間あたり500円程度という金額だとしても、施設・事業所の増収になりえます。


さらに、上乗せされた指名料を職員に還元していく方向になれば、職員の賃金アップ、モチベーションアップにつながることも期待されます。

 

 

懸念点も多い「混合介護」―看護師の指名料はどうなる?

現在議論されているのは、「高齢者に対して不当に高い請求がなされる懸念」や、「所得の違いによる介護の質の格差が生まれる懸念」についてです。

 

これらの懸念を踏まえ厚生労働省は慎重な態度をみせていますが、東京都は2018年度に豊島区でモデル事業を開始する方向。

看護師ら有資格者の指名についても検討の俎上に載せられていました。

 

どういった内容で着地するか、看護師の指名料はどうなるのか、注目していく必要がありそうです。

【看護roo!編集部】


(参考)

1)厚労省、混合介護のルール明確化へ有識者会議を新設 年度末にまとめ 2017/10/11(官庁通信社)

2)東京都、混合介護モデル事業の具体案を年内にも提案へ 政府に解釈の明確化を要請 2017/9/8(官庁通信社)

3)第31回国家戦略特別区域諮問会議 小池東京都知事 提出資料 2017/9/5(首相官邸ホームページ)

4)混合介護、ルール緩和を…家族向けも同時提供、ヘルパー指名しやすく 2017/5/22(ヨミドクター)

5)混合介護:東京都と豊島区が指名料 1時間500円程度 2017/2/10(毎日新聞)

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