HPVワクチン接種勧奨しない責任は-「再開を強く求める」学会が声明
接種後に原因不明の痛みなどの症状が報告され、積極的な接種勧奨が中止されているHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)について、日本産科婦人科学会(藤井知行理事長)は9日、「一刻も早く積極的勧奨を再開することを強く求める」とする声明を発表した。
日産婦学会が、勧奨再開を求める声明を出すのは4度目。
接種を勧奨しないことの責任が問われる
HPVワクチンをめぐって日本では、定期接種化から2カ月後の2013年6月から、約4年半にわたって積極的な勧奨の中止が続いている。
この間、HPVワクチンの安全性と有効性を示すデータは国内外で相次ぎ報告されており、接種の機会が依然として確保されない国内の状況に、批判の声も強まっている。
こうした状況に対し、日産婦学会は今回の声明で、「接種率がゼロに近い世代が拡大し続ければ、将来、ワクチン接種を勧奨しなかったことに対して、不作為責任を問われる」と指摘。
「学術団体として、国民と行政に対して正確な科学的情報を発信する責務がある」としている。
「科学的根拠のない報道」に言及
さらに、これまで勧奨が再開されなかった経緯についての説明で、「一部の研究者の科学的根拠のないデータや報道等により、国民の正しい理解を得られない」とも言及した。
HPVワクチンの副反応をめぐる報道では、科学的な検証がないまま、接種後の症状とワクチンの因果関係を強く示唆したり、過度に不安をあおったりする情報が多く流れてきた。この問題を複雑化させた背景に、そうしたメディアの影響が強くあったことは明らかだ。
学会の声明はメディア側の責任に直接触れていないものの、「正確な科学的情報の発信」に対して、メディアの自覚を促すものとも言えるだろう。
【烏美紀子(看護roo!編集部)】
(参考)
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種の早期の勧奨再開を強く求める声明(日本産科婦人科学会)
Global Advisory Committee on Vaccine safety,Statement on Safety of HPV vaccines(WHO)
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