「業務数が多いほど、やりがいを感じる」介護施設ナースの実態(後編)

今春、介護施設で働く看護師の実態についての調査報告書(日本看護協会)が発表されました。

前編に続き、この後編では、介護施設ナースのやりがいやモチベーションについてまとめます。

 

 

「業務数が多いほど、やりがいを感じる」介護施設ナースの実態

 

 

 

「業務数が多いほうが」働きがいがある

図1は、「担っている業務の数」(脚注1)と「今勤めている施設の働きがい」の関係を示したグラフです。

 

図1 看護師が担う業務と働きがいの関係

(脚注2)

 

介護老人福祉施設、介護老人保健施設訪問看護ステーションのいずれも、実施している業務の数が多いほど、働きがいがあるという結果になっています。

 

また、訪問看護ステーションでは、業務数が少ないグループでも「とてもそう思う」割合が高いことがわかります。

 

 

「業務数が多いほうが」勤続意欲が高い

「担っている業務の数」と「今の施設で働き続けたいか」の関係はどうでしょうか。

 

図2 看護師が担う業務と勤続意欲の関係

 

図1の「働きがい」と同じく、いずれの施設・事業所も、業務数が多いほど今の施設で働き続けたいと答える割合が高くなっています。

 

また、訪問看護ステーションでは図1と同様に、業務数が少ないグループでも「とてもそう思う」割合が高く、勤続意欲をもつ看護師が多いこと示されました。

 

図1図2から、看護師として専門性を発揮できる重要な業務を行っているほど、やりがいや勤続意欲が高まる傾向にあることがわかります。

 

 

訪問看護師の86%が「働きがいがある」と回答

図3は、各施設において、「働きがいがある」「モチベーションが高い」「継続して働きたい」と回答した人の割合を示したグラフです。

 

図3 施設・事業所と働きがい、勤続意欲の関係

 

「働きがいがある」「モチベーションが高い」「継続して働きたい」いずれの項目でも、介護老人福祉施設や介護老人保健施設と比べて、訪問看護ステーションが高くなっています。

 

訪問看護ステーションには意欲の高い人が多いことがうかがえます。

 

 

おわりに

前編では、施設勤務の看護師は、病院に比べて賃金が低く、残業時間は多い場合と少ない場合が二極化していることが示されました。

 

一方で、業務数が多いほうが継続して働きたいと感じ、特に訪問看護では86%以上のナースが働きがいを感じています。

 

介護施設においても、看護師としての専門性が活かせる業務が増え、適切な労働時間とそれに見合った賃金体系の構築が望まれるのではないでしょうか。

【看護roo! 編集部】

(脚注1)

担っている業務の数とは、調査にあたって列挙された35~37の業務のことを指します。

たとえば、看取りに関する業務(入所者の看取りの意向の事前確認、看取り介護計画の作成のサポート、等)、感染管理に関する業務(感染対策マニュアルの作成、見直し、改訂)、などです。

 

(脚注2)

図1~3は、2017年5月18日(木)に行われた「平成29年度 都道府県看護協会 看護労働担当者会議」配布資料を基に編集部にて作成しました。

 

(参考)

1)「介護施設等における看護職員に求められる役割と その体制のあり方に関する調査研究事業」報告書(日本看護協会

2)「平成29年度 都道府県看護協会 看護労働担当者会議」配布資料(2017年5月18日 開催)

3)介護施設等で働く看護職員の役割・業務・処遇等を把握する目的で調査を実施しています(日本看護協会

 

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