幼児言葉が法律違反に!? 障害者差別解消法がスタート

「おばあちゃん、アーンして!」

「はい、よくがんばったねえ」

「あのねえ、~~だよ。わかるかな?」

 

親しみを込めて、あるいは聞き取りやすいようにと、患者に対して子どもに接するような声かけをすることは珍しくありません。

ですが、4月から「障害者差別解消法」が施行されると、障害を持った大人の患者に対する幼児言葉はNGとなります。

 

 

同法のスタートにむけて厚生労働省が作った医療者向けガイドラインには、「(障害を持つ)大人の患者に対して幼児の言葉で接すること」が差別にあたる可能性があると明示されました。

 

このほか本人を無視して付添い者にだけ話しかけること、わずらわしそうな態度を取ることも同様です。

 

障害者差別解消法は、すべての国民が障害の有無によって差別されることなく、互いに共生できる社会の実現を目的に定められた法律です。

 

国や行政機関、民間業者に対して、「不当な差別的取扱い」を禁止するとともに、「障害者への合理的な配慮」が努力義務として求められました。

 

わずらわしそうな態度もNG

これをもとに厚労省が作ったガイドラインでは、次のような行為を不当な差別的扱いと考えられる例として明示しています。

 

・本人を無視して付添い者のみに話しかける

・大人の患者に対して幼児言葉で話しかける

・わずらわしそうな態度を取る、患者を傷つける言葉をかける

・正当な理由なく、介助者などの同伴を求める

・正当な理由なく、診察を後回しにしたり診療時間や病室を制限する

・診療にあたって患者の身体への丁寧な扱いを怠る

・医療機関内に身体障害者補助犬を同伴することを拒否する

 

マスクを外すなどの配慮も求められる

また、合理的な配慮として次のような行為が求められることになります。

 

・障害者に配慮したナースコールの設置(息でナースコールできるマルチケアコール、機能障害者用押しボタンなど)

・声がよく聞こえるよう、また口の動きや表情を読み取れるよう、マスクを外して会話すること

・身振り、手話、筆談など本人が望むわかりやすい方法での説明

・障害の特性に応じたルールの変更(順番が来たら電話で連絡するなど)

 

違反には厚労大臣の勧告も

この法律に違反した場合、ただちに罰則はありませんが、担当大臣(厚労大臣)による報告徴収、助言・指導、勧告が行われます。

 

言葉の伝わりやすさや患者に対する親しみから、子どもに話しかけるような口調を用いることは、いちがいに悪いとは言い切れません。

ですが4月から始まる差別解消法で、こうした態度がルール違反になるということだけは、頭の片隅にいれておいたほうがいいのかもしれません。

 

障害者差別解消法 医療関係事業者向けガイドライン(PDF)(2016年1月 厚生労働大臣決定)

 

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