救急車が到着するまでの時間を有効活用―近くの医療者にSOSが届くアプリ

【ナース知っ得ニュース 2015/6/17】

 

和歌山県とNTTドコモが、事故や急変時に近隣の救命担当者にSOSメッセージを送ることのできるスマートフォンアプリを共同開発しました。119番通報があってから救急車到着までのブランクを埋め、応急処置による救命率を高める目的で、看護師、医師、救命救急士などに救命担当者としての登録を促しています。

 

 

アプリで救命SOS…和歌山県とドコモ開発(yomiDr.)

(C)Allm Inc.

 

救命メッセージを送信し、応急処置を促す「My SOS」

このスマートフォンアプリの名は「My SOS」。無料で誰でもダウンロードでき、病気や怪我で倒れたり動けなくなったりした際、近隣の医療者へ「救援依頼」を送信することができます。

 

患者が緊急時にアプリを起動すると、あらかじめ登録している、半径300メートル以内にいる医師や看護師、救急救命士などの救援可能者たちの携帯電話に救援依頼が通知されます。

救援可能者の画面上では地図に救援依頼の発信場所や付近の医療機関、AED(自動体外式除細動機)の場所が表示されます。

 

救援通知を送信した当人のアプリに既往歴や服薬情報、かかりつけ医の情報、健診結果などが登録されていれば、救援に駆けつけた担当者がそれを閲覧しながら、より適切な救急処置が行えるようにもなっています。

 

救急車到着までの平均8分30秒を有効活用

総務省消防庁によれば、2013年のデータでは、119番通報から救急車到着までの所要時間は全国平均で8分30秒です。山間部が多い和歌山県では、さらに時間がかかるという現状があります。

 

本アプリの開発にかかわった東京慈恵会医科大学の救急医学を専門とする武田教授は、急な心停止からの蘇生率は1分ごとに7~10%ずつ低下し、心停止直後の応急手当が、生死、及び、社会復帰の可否を左右すると述べています。

 

近隣の医療者がすぐに応急処置にあたることで、生存率を大きく左右する「8分30秒間」を有意義に使い、地域の救命率を向上させるねらいです。また、和歌山県は、市民の助け合い環境の構築、医療費削減なども視野に入れています。

 

全国展開を目指して―救援可能者の登録働きかけ

本アプリは2015年3月下旬から運用が開始され、すでに約2500人がアプリを保持しており、約500人の救援可能者が登録されています。
自治体では初の試みで、和歌山県は今後、医師や看護師、消防隊員のほかにも、救命講習の受講者に登録を働きかける予定。
ドコモは全国での展開を目指しており、アプリが広まれば、地域の医療者が役割分担をして救命に関わることが実現されそうです。

 

 

(参考)

My SOS(株式会社アルム)

倒れた時、付近の人の携帯にアラーム ドコモと和歌山県、SOSアプリ開発(apital)

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