最終更新日 2018/01/29

カニューレ

カニューレとは・・・

カニューレ(かにゅーれ、cannula)とは、心臓や血管、気管などに挿入する太めの管のことである。気管切開後に切開部から気管内に挿入するものを気管カニューレという。気管カニューレは、患者の状態に応じて使い分ける。

 

気管カニューレ

気管挿管から1週間以上経過した患者で、人工呼吸器から離脱できない場合などに、気管切開をすることがある。気管切開後の気道確保、気道分泌物の吸引などのために使用する。いくつかの種類があるので、使用する患者の呼吸状態やリハビリの進行状況に応じて使い分ける。 

 

気管カニューレは大きく分けて、カフの有無、窓の有無、内筒の有無で分けられる。 

 

カフ

カフはチューブの先端部分に付いている風船のことである。このカフを適切な圧力で膨らませ、カニューレを通して気道へ換気を行うことで、人工呼吸器などによる換気を効率化できる。この際、声帯への空気の流れは遮断されているため、発声はできない。口腔内分泌物などの気道内への垂れ込み防止に役立つこともある。

 

窓とはカニューレの屈曲部(口側)に開いている穴のことで、そこから空気の出入りができる。窓付きのカニューレを用いると、空気が声帯を通るので、発声ができるようになる。しかし、口腔内分泌物などの気道内への垂れ込みの危険がある。人工呼吸器などにつなぐことはできない。

 

内筒 (複管タイプ)

通常の気管カニューレ(内筒なし)が1本の管(単管)であるのに対し、内筒がある2重構造の気管カニューレ(複管タイプ)がある。複管タイプは、呼吸状態の改善にあたり発声練習をすることが可能である。人工呼吸器などを接続する場合は内筒を入れた状態で使う。外筒の屈曲部(口側)に窓が付いており、内筒を外し該当の入口部を指で押さえたり、発生用バルブをつけることで発声練習ができる。呼吸器筋疲労や呼吸状態の悪化があれば、内筒を挿入し、人工呼吸器につなぐことができる。

 

複数の気管カニューレの使用例

(1)気管切開後、間もない患者は、嚥下機能も悪く、呼吸器からの離脱もできていないため、カフあり、窓なし、内筒なし(単管タイプ)を使用する。
(2)徐々に呼吸状態の改善が進む中で、カフあり、窓あり、内筒あり(複管タイプ)に切り替えていく。 
(3)呼吸状態の改善が得られ、口腔内分泌物などの気道内への垂れ込みなど誤嚥の危険性が下がれば、カフを凹ませ、内筒を外して発声用バルブを付ける。発声用バルブは一方弁なので、吸気時にカニューレと口から空気を取り入れ、呼気時には声帯を通って口から空気を出すことができ、発声ができるようになる。この段階のカニューレの状態をスピーチカニューレと言う。 

 

以上のように、呼吸状態やリハビリの進行状況に応じて気管カニューレは使い分けができる。

執筆: 江角 亮

三重大学医学部附属病院 救命救急センター医員

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