アルキル化薬とは・・・
アルキル化薬(あるきるかやく、alkylating agent)とは、抗がん薬の一つである。
アルキル化薬は、薬の構造の中にアルキル基を含んでいる。アルキル化薬は、核酸、蛋白などの生物学的に活性を有する分子にアルキル基を導入できる化合物の総称である。このアルキル基を核酸し、たんぱく質などの生物学的に活性を有する分子に導入することができる化学物の総称である。
種類
アルキル化薬は、主に以下の6種類に分類される。ナイトロジェンマスタード類:シクロフォスファミド、イホスファミド、メルファラン、ペンダムスチン
ニトロソウレア類:ラニムスチン、ニムスチン、カルムスチン
エチレンイミン類:チオテパ
スルホン酸アルキル類:ブスルファン
トリアゼン類:ダカルバシン、テモゾロミド
白金製剤(プラチナ製剤):シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン
作用
アルキル化薬には、DNA塩基(グアニン)に薬物中のアルキル基を結合させ(アルキル化)、DNAの鎖間もしくは鎖内で架橋を形成する作用がある。これにより、DNAに損傷を引き起こし、DNAの複製を阻害する。すると、細胞の機能障害が起こるため細胞死する。この作用を利用してがん細胞を細胞死(がんを縮小)させることが、アルキル化薬をがん治療に用いる主な目的である。アルキル化薬には特定の細胞周期に作用する特異性はないが、G1後期およびS期に感受性が高い。
副作用
種類により異なるが、主な副作用としては悪心、嘔吐、脱毛などが挙げられる。
引用参考文献
1)田中千賀子,加藤隆一編.NEW薬理学 改訂第6版.南光堂,2011,p.662.(ISBN:9784524260881)