僧帽筋とは・・・
僧帽筋(そうぼうきん、trapezius)とは、上背部に位置して肩関節の運動に寄与する筋肉である。
後頚部・第12胸椎・両側肩関節がつくる菱形状に位置する筋肉であり、英語名のTrapeziusはその形状の「台形」に由来する。和名の「僧帽筋」は、カトリック教フランシスコ会の一派であるカプチン修道会の修道士がかぶる長頭巾(ながときん)に似ていることが由来である。
僧帽筋の起始は外後頭隆起・項靱帯・上項線・第十二胸椎までの棘突起と周辺の靭帯による正中線であり、停止は両側の鎖骨の外側3分の1・肩峰・肩甲骨の肩甲棘である。上部より起始する筋線維は下方に向かい、その後横に向かって走行する。下部より起始する筋線維は上方に向かい、その後横に向かって走行する。全体としては肩甲骨・鎖骨外側端を脊柱に向かって引く働きをするが、起始する部位により各筋線維の走行が違うためさまざまな動作が可能となっている。上部は肩甲骨と鎖骨の肩峰端を上内方へ引き上げ、中部は肩甲骨を内側へ引き、下部は肩甲骨を内下方に引き下げる。また、僧帽筋は強制吸気をする際の呼吸補助筋の一部となる。支配神経は副神経と頚神経叢が司り、拮抗筋は前鋸筋と広背筋である。