ウィルヒョウ転移とは・・・
ウィルヒョウ転移(うぃるひょうてんい)は、消化器癌などが左鎖骨の上のくぼみにあるリンパ節(左鎖骨上窩リンパ節)に転移することである。胃癌が代表である。左鎖骨上窩リンパ節は、リンパ管が大静脈に合流する静脈角の近くのリンパ節であり、そこに転移があることは、癌がかなり進行した状態を示す。
癌は周囲の組織に浸潤すると、さまざまな経路によって原発巣から離れた部位に運ばれ、そこで新たな増殖をするようになる。この現象を転移と呼ぶ。転移は経路の種類によってリンパ行性、血行性、播種性に分類される。
癌細胞がリンパ管の中に侵入し、リンパの流れによって運ばれリンパ節などで新たに増殖巣を形成する場合をリンパ行性転移とよぶ。リンパ行性の転移は、原則的に解剖学的なリンパの流れに沿って進んでいく。はじめに癌が発生した臓器のすぐ近くのリンパ節(局所リンパ節、所属リンパ節とよばれる)に転移巣を形成するため、肺癌では肺門のリンパ節、胃癌では胃壁のすぐ近くのリンパ節に転移する。したがって癌の外科手術では、原発巣の切除とともに局所リンパ節の切除を同時に行うのが通常定型的となっている。
リンパ行性転移は癌が進行するにしたがい、局所リンパ節から、リンパの流れに沿って次々に離れたリンパ節に転移するようになる。一般的に癌を持つ患者の予後は、このリンパ節転移の数が多く広くなるにしたがって悪くなっていく。