最終更新日 2017/07/18

クラビクルバンド

クラビクルバンドとは・・・

クラビクルバンド(くらびくるばんど)とは、鎖骨を骨折した患者に対する保存療法(※)で用いられる固定帯のことである。主に鎖骨骨幹部骨折で使用される。

鎖骨骨折によって骨がずれると肩甲骨が丸まるように前に出て鎖骨が短縮するため、これを防ぐためにクラビクルバンドで胸を張る姿勢を保つ。背当て部から背部ベルトが2本出ており、これを両肩の上と両脇の下を通し背中で固定して使用する。

※保存療法:手術を行わないで患部を治癒すること。

 

鎖骨骨折の種類

鎖骨骨折は、折れた部分によって大きく以下の3種類が存在する。

 

鎖骨近位端骨折

鎖骨の中心より内側で起こる骨折で、鎖骨骨折全体の2.8~6%と稀なケースである。心臓に近く重要な神経や血管が通っているため、保存療法を選択する場合がほとんどである。クラビクルバンドや三角巾を使用して固定する。

 

鎖骨骨幹部骨折

鎖骨の中心部分で起こる骨折。手術を行わなくとも骨の癒合が比較的良好であるため、クラビクルバンドを使用して保存療法を選択する場合が多い。

 

鎖骨遠位端骨折

鎖骨の中心より外側で起こる骨折で、鎖骨遠位端は扁平な形状をしている。中枢側の骨片が頭側にはねあがり、転位が大きくなるため癒合しづらい。よって保存療法よりも手術が選択される場合が多い。

 

クラビクルバンド使用時の注意点

クラビクルバンドを使用時に締め付けが強い状態にしていると腕のしびれを感じることがあるが、これは神経の圧迫が原因である。

 

鎖骨の下には腕神経叢(※)と呼ばれる神経の束が存在し、その束から腕へと神経は分かれていく。腕神経叢から分かれた神経は尺骨神経、正中神経、橈骨神経(とうこつしんけい)、腋窩神経(えきかしんけい)、筋皮神経などがある。クラビクルバンドによって腕神経叢が麻痺すると、その末端側であるこれらの神経が麻痺し腕のしびれを感じる。

※腕神経叢:わんしんけいそう/脊髄神経から分かれて鎖骨、上腕、前腕、手へ繋がる神経叢の名称のこと。

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