全人的苦痛とは・・・
全人的苦痛(ぜんじんてきくつう)とは、トータルペインともいわれ、末期癌など予後不良の患者が体験している複雑な苦痛のことである。
近代ホスピス運動の創始者と呼ばれる英国の医師シシリー・ソンダースが、末期癌患者との関わりを通して提唱した概念である。
全人的苦痛を形成する要因
ソンダースは、以下の4つの要因が患者の全人的苦痛を形成しているとし、それに対するケア(緩和ケア)の重要性を訴えた。
身体的苦痛
体の痛みや症状、日常生活動作の支障、など。
精神的(心理的)苦痛
不安、いらだち、うつ状態、孤独感、など。
社会的苦痛
経済、仕事、家庭、人間関係、相続等に関する問題
スピリチュアル(霊的)な苦痛
人生の意味への問い、自責の念、死への恐怖、価値観の変化、死生観に対する悩み、など。
緩和ケア
全人的苦痛にある患者とその家族が抱える問題を、早期に発見してケアやサポートを行うことである。それにより、患者とその家族のQOLの向上を図る。医師や看護師などの医療者だけではなく、各専門家による多職種のチームによって行われる。