NPPVとは・・・
NPPV(えぬぴーぴーぶい、noninvasive positive pressure ventilation)とは、非侵襲的陽圧換気療法のことで、気管挿管や気管切開をせず、マスクだけで一定の圧力や決められた量の空気を肺に送る人工呼吸器療法のことである。
NPPVの長所は挿管せずに気道に陽圧をかけ換気をさせることができることである。これにより会話なども可能であり、鎮静剤などによる鎮静をかける必要がなくなる。一方、短所はマスクの圧迫や押される空気による不快感などがある。
適応
■患者の意識状態がよく協力的である
■循環動態が安定している
適応疾患として、急性心原性肺水腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)急性増悪、喘息の重積発作、神経筋障害、抜管後の呼吸障害などがある。
禁忌
■非協力的で不穏
■大量の気道分泌物・排痰困難などで気道の確保ができない
■自発呼吸がない
■循環動態が不安定
■意識が悪い
■顔面外傷などがありマスクがつけられない など
使用方法
NPPVはマスクを装着するだけなので使用は簡便である。ただし、確実な陽圧換気のためには顔とマスクの密着が重要となるが、一方でマスクによる不快感の軽減も重要となる。したがって、以下の手順に留意して装着する。
(1)マスクの必要性と不快感について十分に説明し、患者に理解・納得を得る
(2)適切なサイズのマスクを選択する
(3)すぐに装着固定せず、手を添えてマスクを口元に当てて徐々に慣らせていく
(4)十分な換気が得られ安定(リーク量が10~30mL/分程度)したらマスクを装着固定する
以上のように、適応は、陽圧換気による呼吸補助が必要な患者であるが、禁忌に相当する状態がある場合などでは適応外となる。慎重に適応を見定めた上で、慣れた医療従事者とともに使用することが望ましい。マスク装着の圧迫により顔面に皮膚潰瘍などを生じることもあるため、注意が必要である。